役柄に自分の姿を重ねて
――40代で訪れた“セカンドチャンス”に挑戦していく忍の姿に共感しますか?
はい、共感します。38歳の時に初めて連続ドラマの主演という大きな仕事をいただいたことは、まさしく私に訪れたセカンドチャンスでした。予期せぬタイミングで、期待も想像もしていませんでしたから。でもそれは私にとって“ファーストキャリア”の延長で、「よし!ここからもっともっと先に進むぞ!」という向上心のあるリスタートでした。
一方で、同じセカンドチャンスでも忍にとっては、“セカンドキャリア”の始まりなんだと思うんです。単純に社会的立場の向上を目指すのではなく、個人的な幸せというものに向かっていくのかなと。誰のものでもない自分の人生を、自分らしく生きる。自分を取り戻す段階だと考えました。
そして、たった3年前にファーストキャリアの延長線上を歩き始めた私は、40歳を過ぎた今、上を目指すのではなく、今ここで、例えば自分らしい表現をしたいとか、大切な人に恩返しをしたいとか、個人的な願いを込めて演じていたりしていて…忍に自分の姿を重ねています。
――忍は自分の人生観に向き合っていきますが、ご自身のこれまでの人生をふと振り返ることはありますか?
当時よく聞いていた音楽が流れてきたり、懐かしい場所を訪れたりしたときに、ふと記憶が蘇ることはあっても、後悔があって過去を振り返るようなことはないですね。例えば何かを思い出して、あの時こうしていたら、どうなっていたかな?なんて別の選択肢の想像をしたとしても、ほんの一瞬です。都度反省しつつ、今という時間を精一杯生きることに全力です(笑)。