各界で活躍する超一流プロフェッショナルに密着するドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」(毎週火曜夜10:30-11:15、NHK総合)。放送17年目を迎える長寿番組は、今年から「となりのプロフェッショナル」と題し、ごく一般の人々にスポットを当てるスピンオフ企画を始動した。1月18日に第1回「推し活の流儀」が放送されると、SNSを中心に大きな反響がみられた。この新たな取り組みはなぜ始まったのか。番組プロデューサー・末次徹氏、横山友彦氏に話を聞いたところ、「わかりみ」「誰もが何かに酔っていないと生きていけない時代」「仕事=人生という価値観はもう古い」「解釈は自分でしたい」…といった今ならではの価値観が見えてきた。本企画は、通常回に対する「見ていて少しつらい」という視聴者意見を受け、時代を映し視聴者に寄り添いたい番組側の想いが形になったものだという。
視聴者から「見ていて少しつらい」という感想も
——今回新たに「となりのプロフェッショナル」という企画を始められたのは、何がきっかけだったのでしょうか。
末次:放送開始時から一貫して各界のトップランナーに取材してきましたが、放送後のSNS反響をチェックしていると、ここ数年で視聴者から「見ていて少しつらい」という反応も見られるようになり、それがずっと気になっていました。もちろん感動の声もありますが、同時に「自分には関係のない話」「遠い存在すぎて真似できない」という感想があり、やはり格差社会による分断やコロナ禍などによって、仕事でトップを極めている方々の話だけでは届かない視聴者層が存在するのだと感じるようになりました。コロナ禍においてゴミ収集員の方など、エッセンシャルワーカーへの密着を始めたのも同じ理由ですが、「あなたの周りの身近な人にも輝くものがある」ということを伝えたくて、新たにスピンオフのような形で「となりのプロフェッショナル」として立ち上げました。
——初回の「となりのプロフェッショナル 推し活の流儀」は、SNSを中心に大きな反響を集めました。職業ではなく趣味である「推し活」にフォーカスしようと考えたのはなぜですか。
末次:新たな層に届けたいという意識があったので、20代の番組スタッフに「何が番組で取り上げられていたら見たいか」を聞いてみたところ、「推し活」というアイデアが出てきたんです。私自身は小説の「推し、燃ゆ」などで「推し」というワードこそ知っていましたが、詳しくはありません。ただ、今までの「プロフェッショナル」は著名人など、いわば推される・応援される側の人を取り上げていて、それでは届かない層があるという課題感を持っていました。なので、逆に応援する側の人を取り上げるのは面白いと思いました。それに「仕事=人生」という価値観はもう古いのではないか、働いている姿だけでその人を描いたことにはならない、と感じていたのもあります。
——実際に「推し活」をされているスタッフさんがいたのですね。ちなみにどなたを推されているのでしょうか。
末次:彼女は元AKB48の横山結衣さんを長い間推しているそうで、「推し活」について色々レクチャーしてもらいながら企画を進めました。撮影など実際の制作については、彼女ともう一人の若手ディレクターのセンスに任せた部分が大きいです。