“変わり者”感をナチュラルに出すことを意識
――「ねこ物件」へ出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。
猫が好きで、前から「猫の作品が出来たらいいな」と思っていたので、純粋にすごくうれしかったです。
――演じる上で心がけていたことはありますか?
本当に猫が好きな人ってちょっと変わり者が多いような気がします。主人公もそういう節があって。世間知らずで社会のことをよく分かっていない。猫への愛情は深いけれど、人との触れ合い方はよく分からない。そういう普通の人と違うところを出すというのは意識して演じていました。
――監督から何かアドバイスは受けましたか?
「どこまで変な人ですか?」とご相談はしました。「あくまでもナチュラルに」という話だったので、わざとらしくならないように気を付けましたね。
最初に皆さんが引っかかるのが、「働いていません」とちゃんと目を見て言う場面だと思います。普通の芝居だったら、無職であることに負い目を感じて伏し目がちに言うと思いますが、彼は働いていないことを悪いことだと思っていないので、相手の目をしっかり見て「働いていません」「働いたことありません」と言えてしまう。
そういったちょっとした違いを出せるように意識しました。
「猫待ち」がある独特な現場
――撮影現場はどんな雰囲気でしたか?
“猫待ち”が結構あったことは大変でしたね。
猫は基本自由気ままなので、ひとつのカットにしても猫が左に行くか右に行くかそのままなのかが分からない。なので、「右のパターンと左のパターン両方撮っていい?」ということや、「猫が今いい感じだから先にそっちを撮ってしまおう」と順番を入れ替えることが多々ありました。
あとは、作品の魅力として猫だけではなく、主人公が人として成長していくさまがとても描かれている作品です。シェアハウスにいろいろな男性が入ってくるのですが、若いメンバーが多いので、楽しい場になってほしいなと思って多めにコミュニケーションを取りながら撮影していました。
――撮影中に印象的だったことはありますか?
今回、すごくアドリブが多くて。監督がカット尻を長く回す方だったので、役者は「何か埋めなきゃ」と。現場はよくアドリブ大会になっていました。
そして、(優斗の家の管理をしている不動産会社に勤める広瀬有美を演じる)長井短さんが“アドリブ女王”で(笑)、基本的に彼女に引っ張られる形で良い化学反応がたくさん生まれました。