<ドラマアカデミー賞>「最愛」が脚本賞!『それぞれの人物が何を抱えて生きているのか』人間ドラマ描く苦労も
第110回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞では、吉高由里子主演「最愛」(TBS系)を手掛けた奥寺佐渡子氏、清水友佳子氏が、「リバース」(2017年TBS系)以来、2度目の脚本賞を受賞。「時間軸を交差させながら伏線を張り複雑な迷路を構築した職人芸」「感情を揺さぶるような展開やセリフ」を高く評価された。
奥寺氏は、「『最愛』はラブとサスペンスだけでなく、企業、創薬、警察、弁護士とたくさんの要素が入った作品でした。新井順子プロデューサーの原案を基に全10話を清水さんと分担し、納得できるまで打ち合わせをしながら書いていきました」と制作を振り返った。
また、「犯人が分からないよう情報をかく乱しつつ、それぞれの人物が何を抱えて生きているのかという人間ドラマを見せるのが難しかったですね」と作品づくりの苦労も。「吉高由里子さんをはじめ俳優さんの演技に抜群のリアリティーがあり、それを台本に反映し、共感してもらえるドラマを作ることができました」と出演者たちの演技が脚本に生かされていたことを明かした。
一方、清水氏はサスペンスの難しさを、「目の肥えた皆さんの考察をどう裏切っていくのかというのが課題で、予想以上に苦労しました」と明かす。オリジナルならではの難しさだが、その甲斐もあって、謎解きは大きな盛り上がりを見せた。
さらに、「登場人物はみんな愛すべき人で、特につらい過去を持つしおり(田中みな実)を描くときは、泣きながら書きました。加瀬(井浦新)については最初は迷いましたが、井浦さんが役柄を深く掘り下げてくれ、セリフの言い方や表情にインスパイアされました」と、視聴者の反響も大きかったしおり、加瀬についても思いを語っている。
(取材・文=小田慶子)