「せりふの一字一句に対してのこだわりを捨ててみた」
――万太郎という役は少し個性的な役柄のようにも感じましたが、どのように撮影を進めていったのでしょうか?
演じるときに、せりふの一字一句に対してのこだわりを捨ててみたんです。あえて自分の言葉で話した場面もあるので、せりふとは違うことを言っていたシーンもあるんじゃないかなと思います。
――劇中には坂本さんのアドリブも登場するのですね。
そうですね。万太郎というカードをひっくり返したら、そこには“坂本昌行”という人間がいるというイメージで現場にいました。
――今作では初の獣医師役ということで、動物のいる現場はリラックスができる反面、大変な部分も多かったと思います。動物とのコミュニケーションはどのようにされていたのでしょうか?
(即答して)おやつです(笑)。偉大な力を持っているということを、改めて感じました。おやつをあげるとしっかりということを聞いてくれるんです。
実は、ドラマの撮影中に監督がうなった芝居があるんです。それは、げんたくん(※タクト役で劇中に登場するフレンチブルドッグ)のお芝居でして。改めて、動物が持っている魅力や自然な表情は勉強になるなと感じました。
コロナ禍で実感した“自分にできること” 「笑顔がそこにあると信じて」
――19年ぶり“座長”ということで、現場で意識して行っていたことはありますか?
まずは「皆さんの邪魔にならないようにする」ことを心掛けました。街を歩いているとロケ現場ってよく見かけるじゃないですか。そのたびに「すごいな」「かっこいいな」と思っていたんですけど、いざ現場に入ると全ての動きを把握することができないので、とにかく邪魔にならないようにしていました。
――撮影の合間時間に他の共演者の方々と積極的にコミュニケーションを取ったりしていたのでしょうか?
いいえ(笑)。皆さんとは長めのシーンでお会いすることも多かったので、ご自分のせりふを確認されている方もいらっしゃいましたし…皆さん初共演だったので。中山優馬を捕まえて「いろいろ教えて」と言いながら、皆さんとの距離を縮めていました。
――事務所の後輩である中山さんとはどのようなお話をされたのでしょうか?
合間の時間に「初共演だね」と話し掛けたら、(中山が)「実は(ジャニーズ)野球大会の時に、僕が投げた球が坂本くんに打たれてホームランだったんです。あの時のピッチャーです!」と教えてくれて(笑)。そこからプライベートの話やお仕事のことなどたくさん話せました。
――初共演となる矢田亜希子さんの印象はいかがですか?
よくテレビで拝見していたので“女優・矢田亜希子”としてのイメージが強かったのですが、非常に気さくで明るい方で。空き時間には、ディスカウントストアの話などをして盛り上がりました。
――最後に、幅広い分野で活躍されている坂本さんがエンターテイナーとして大切にしていることを教えてください。
コロナ禍で、当たり前であったものが当たり前でなくなってしまっている今、心に寄り添えるもの、奮い立たせるもの、元気や笑顔をもたらすものっていうのはやっぱりパワーのあるものだと感じています。
どういう形であれ、皆さんの笑顔がそこにあると信じていて、自分の出せるものは120%出していきたいなとは思っています。
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