ロバート・秋山竜次扮(ふん)する最先端のクリエイターにインタビューする「クリエイターズ・ファイル」。今回は、日本で唯一の七つ星ホテル「カンペリーザホテル」のメインレストラン『spa~tongue(スパタン)』で総料理長を務める白刀康夫(50歳)。格式高い一流レストランのビュッフェとはどういうものなのか。そこには白刀のビュッフェにかける情熱があふれていた。
舌もねぎらってあげないかんやろ…店名にこめた想い
――どのような経緯でカンペリーザホテルに勤められたのですか。
白刀:私はカンペリーザホテルで働き始めて今年で25年、総料理長に就任してからは15年になります。高校を出てすぐに親戚が芦屋でやっているフライパンレストランで働きました。そこは、フライパンに収まるサイズの料理を提供しているお店でした。ナポリタン、野菜炒め、チャーハン、チキンライス、オムライス、ドライカレー、生姜焼き、焼肉、まあほとんどですわな。
その後は、和歌山で鍋料理をつまみに酒を飲む鍋バーでも働きましたね。鍋料理といえば、シチュー、肉じゃが、水炊き、ブイヤベース、まあほとんどですわな。居酒屋ですわな。その後、ソテーバルでも働きましたよ。炒めるを主とした店で、生姜焼き、ナポリタン、ビーフン、チャーハン、麻婆茄子、焼きうどん、もうほとんどですわな。そうして10年修業を積んだ末にカンペリーザホテルのメインレストラン『spa~tongue』に来ました。
――『spa~tongue』というのは、どういう意味ですか。
白刀:その名前の通り、舌にもスパのように喜ぶ体験を味わっていただきたいという想いを込めています。
これはほんまに思うんですが、温泉行ったら、皆さん「肩までつかりましょう」って言われるでしょう? その時、「舌はどういう気持ちで聞いてるんやろう」って思いませんか?毎日の食事で駆使した舌やのに湯にはつかれんというのがどうも理不尽でね。ほんなら、せめて舌もねぎらってあげないかんやろと。
うちは普通のレストランでは出会えないような料理を提供し、舌に極上の楽園気分を味味わわせてあげようという気持ちで料理を作っています。