「バケモノの世界」を違和感なく見られるすごさ
編集Y：そういえば、劇団四季らしくない(？)というか、近くにいた女の子たちが、「あのシーンの一郎彦の冷たい視線はやばい」みたいな話をしていて。「キャラ萌えの人もいるんだ！」 ってそれはちょっと新鮮でした。
編集H：他の劇団四季作品でキャラ萌えってあまりなさそうだもんね。ちなみに私の推しキャラは多々良です(笑)。熊徹と九太の稽古を見ている多々良が自然と尻尾を振っているところに、かなりキュンときましたわ。
編集Y：そこ可愛かった！
ライターN：僕は、二郎丸が牙をかく仕草がよかったなあ。あと、百秋坊の背中！ ただ立っているだけなんだけど、百秋坊の人生が全部伝わってくるような後ろ姿で。ああ、これが「役を生きている」ってことなのかー、って。
編集Y ：うん、うん。百秋坊がお坊さんであるだとか、背景の説明は一切ないけど、そういうことがしっかりと伝わってきましたよね。
編集H：百秋坊と多々良って作品の裏回しというか、せりふがそこまで多いわけではないけど、すごく重要な役どころでしたよね。
ライターN：二人の歌がまた良かったです。歌の数分間の中に、九太と熊徹との四人の歴史が感じられるというか。
編集H：私は「修行」めちゃくちゃ好きです。
編集Y：口ずさみたくなっちゃいますよね。子役の蓮くんがまたすごく可愛くて。
編集H：いやー、本当に子役の方たちのお芝居も素晴らしかったよね。あと、感心してしまったのは、熊徹の動き。アニメーションだと、描けばそのように動くわけだけど、人が頭で考え出した動きを実際の人間がやってしまえるのだからすごい。もちろん映画と一緒ではないけど、ピョンピョンしたり回ったり、身のこなしや動きの印象がちゃんと熊徹なんだよね。
ライターN：ああ、言われてみれば、本当にそういう感じしました。当たり前というか自然に観られるということが、実はありえないほどすごいことなんですよね。
編集Y：俳優さんももちろんだけど、装置をたくさん使っているし二重盆だし、裏方さんも超大変だろうなって思いました。つつがなく進行して何事もなく終わるためにどれだけの労力が注がれていることか、って。
編集H：いろんな方のご苦労の上で成り立っている作品を、安心しながら座って楽しめるって、ものすごくぜいたくなことだよね。
ライターN：今回のムック本で、たくさんの俳優さんやスタッフさんのインタビューをさせてもらったことで、それは本当に痛感しましたね。ある俳優さんが「舞台は観る天国、やる地獄」と仰っていて、「やる地獄かー」とおののきました(笑)。
編集H：スタッフさんも「開幕したからといって、まだまるで作品をお客さんの目線では楽しめないし、いつ楽しめるかはわからない」ってお話ししていましたね。
編集Y ：映像作品と違って、舞台は毎回一発勝負の”ナマモノ”ですもんね。劇場でしか味わえない、あの独特の緊張感は病みつきになります。いろんな人に病みつきになってほしいし、まずは一度舞台を観てほしいなと、舞台ファンの私としてはこの場を借りてそう言いたいです。
第1回劇団四季代表取締役社長 吉田智誉樹氏インタビュー
第2回担当者が語る！劇団四季の稽古の裏側
第3回脚本・歌詞 高橋知伽江インタビュー
