声だけで決めていきました
――声優はどのようにして決められたんですか？
伊能氏：例えば、1つのキャラクターに5人の候補の方がいます。声優さんの名前は知らされず、「この5人の中だったら誰がいいですか？」と、声だけで決めていきました。初見キャラの理解力はすごく大事なので、意見が一致してよかったなって。
児玉氏：公式サイトの「CHARACTER」に掲載されているイラストで、マゼンタがお茶とせんべいを持っているんですけど。
伊能氏：そう、脚本にはお茶を飲んでるとか書いてないので、こういうのも監督のアイデアです。
児玉氏：踏み台もこだわりました(笑)。キャラ付けをすると動きを決めるきっかけにもなるので大変ですけど楽しかったです。
――ちなみに、児玉監督が「ドラゴンボール」シリーズの中で特に好きなキャラは？
児玉氏：何も考えなかったら悟空になりますけど、唯一気になっているのは、ナメック星に行った時、最長老さんの下に長老さんがいるんですけど、それを護衛しているであろう3人のナメック星人です。
伊能氏：気になるって？
児玉氏：結局やられちゃうんですけど(笑)、戦闘向けのナメック星人がカッコよかったなって。今回、似たようなキャラが回想シーンにチラっと。
――伊能さんはどのキャラが？
伊能氏：今回の映画に絞ってみると、Dr.ヘドですね。年齢不詳ですけどまだ若い感じで、マッドサイエンティスト的な雰囲気もあって。見た目で言うとふざけた感じにも思えますけど、複雑なキャラなんです。表現するのが難しそうだなと思ったのですが、ちゃんといいキャラクターになっていました。人気キャラになるかは分かりませんけど(笑)。
児玉氏：僕もいいキャラだと思いました。
――鳥山さんが「今回は特に動画のクオリティーがすごいです！」とコメントされていましたが、監督の映像へのこだわりもかなりあったかと思いますが。
児玉氏：前作で3Dパートに参加させていただいたのですが、今回は前回出来なかった違和感を払拭したいという気持ちがありました。それと、今回はキャラクターが3Dキャラクターなので、これまでの作画から3Dになった時の違和感が出ないようにすることにも重きを置いていました。
伊能氏：人間の目って、どんどん贅沢(ぜいたく)になってくるので、良いものに慣れてしまうんです。この作品を見たら、それまで“いいな”と思っていた映像作品が違って見えてくると思いますよ。そういう意味では怖い作品になりました(笑)。
――映像のクオリティーにそれだけ自信があるということですね。
伊能氏：はい。これまでにも映画やアニメ、ゲームでもいいんですが、「こんな作品を作られちゃったらもっと頑張るしかない」って思わせてくれる作品がありましたが、今作がそういう作品になったらいいなと思っています。
児玉氏：確かに、僕もこの作品を見た後で他のアニメーションを見た時、違和感がありました。「なぜこのキャラクターはコマが少ないんだろう」とか「なんで動かないんだろう」とか「なんで形が崩れるのか」とか、今まで気付かなかったことに気付くんです。
伊能氏：3Dキャラクターですけど、この作品はアニメーションだと思っていますので、“今のアニメーションはこれだよ”と提示できる作品であり、アニメーションの基準を上げる作品でもあると思っています。
――タイトルの“スーパーヒーロー”とは？
伊能氏：鳥山先生の作品は明解なテーマ設定は書かれてなくて、エンタメなので「見ていただいたものが全てです」という考えなのも分かっています。とはいえ、タイトルに“スーパーヒーロー”と付いていますからね。これは自分の解釈ですが、善とか悪とかではなく、みんながそれぞれ立ち向かったり戦ったりしていて、困難を乗り越える姿が描かれているので、“みんなスーパーヒーローだよ”っていうことなのかなって。ピッコロや悟飯だけでなく、視点を変えて、レッドリボン軍側の目線に立ってみると、“彼らにとってのヒーローってこういうことなんだな”と感じたりするんじゃないかなと思います。
児玉氏：おっしゃる通りだと思います。それぞれの正義がぶつかり合う感じですし、それぞれ個性があって、それぞれにヒーロー要素があると思います。
伊能氏：鳥山先生も「1回目はストーリーを追って、2回目はキャラクターを細かく見てください」と言ってましたので、ぜひ繰り返し見ていただきたいです。
◆取材・文＝田中隆信
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
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