コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、たむらゲンさんの描く『遥かなるマナーバトル』を紹介。同作は、マナー違反を指摘し合い最強のマナー講師を決める「マナーバトル」が繰り広げられる異色のバトル漫画。昨今たびたび話題になる「マナー」を、バトル漫画に持ち込んだ皮肉の効いたシュールな切り口が話題を呼び、同作品を投稿した5月22日のツイートには10万以上(2022年7月6日現在)の「いいね」が集まった。この記事では作者のたむらゲンさんにインタビューし、作品へのこだわりなどを伺った。
父親を殺したマナーの生みの親との白熱の戦い！マナーを駆使したシュールな戦闘に引き込まれる人続出
名刺交換をするふたりの女性。一見ビジネス上の何気ない一コマだが、唐突に一方の女性・光上(こうがみ)光子が、もう一方の女性・笹木真那のマナー違反を指摘する。すると、観客に囲まれた闘技場へと場面が転換し、「マナー違反一本炸裂」の言葉とともに真那の体に電流が流れる。ふたりは、互いのマナー違反を指摘し合い、最強のマナー講師を決めるマナーバトルの最中だったのだ。
さかのぼること1年前、自殺により父親を亡くした真那。葬儀で聞こえてくるのは「マナー」や「礼儀」を押し付ける声ばかりで、本当に父親の死を悼んでくれている人はいないように思えた。そんな中、ずかずかとくわえタバコで葬儀場に現れ、お焼香の代わりに火のついたタバコを香炉に突き立てる男性。その男性は、ヤクザになり消息が分からなくなっていた父親の弟、真那のおじであった。決してマナーが良いとはいえない行為だったが、真那には父親のために祈るおじの所作がとても美しく見えた。
足早に葬儀場を立ち去るおじを追いかけ、「私に人の殺し方を教えてくれませんか」と涙ながらに声を上げる真那。突然の投げかけに驚くおじに、真那は父親の死が仕事での取引中の「マナー違反」によって引き起こされたことであったことを明かす。話を聞き終えたおじは、復讐に燃える真那に「殺すんじゃない、世界を変えろ」と諭すように言葉をかける。復讐にとらわれていた真那は、おじの言葉で目を覚まし、何者かによって作られたマナーという不条理な社会システムそのものを変えることで、父親の無念を晴らそうと決意する。
世界を変えるためには、自身がマナー講師になり、最強のマナー講師を決めるマナーバトルで優勝することが必要になる。翌年に開催されるマナーバトルに参加するべく、おじの元で1年間マナーの修行に明け暮れる真那。修行を終え、いよいよマナーバトルの開幕を控えた真那に、衝撃的な事実が知らされる。一回戦の相手は、なんと父親を殺したマナーを作ったマナー講師・光上光子だった。因縁の相手と対峙する真那。物語は冒頭へと戻り、熾烈(しれつ)なマナーバトルへと展開していく。
漫画を投稿したツイートには「最高に皮肉が効いていてよい」「マナーという概念だけでここまでの漫画作れるってすごすぎる」「ギャグ漫画と見せかけて普通にカッコいいしエピソードも惹き込まれる」など、多くのリプライが寄せられた。また、同作はTwitterで毎週火・金曜に更新されていて、7月6日現在は第2話の途中までアップされている。さらに、今年の夏には漫画配信アプリ「マンガワン」での連載も予定している。たむらゲンさんは、『遥かなるマナーバトル』以外にも『IQ２億だ二岡さん』など、シュールでクセになる作品を多数投稿しているので、気になる人はチェックしてみてはいかがだろうか。
作中には創作マナーも登場。作者たむらさんにとっての「マナー」とは？
ーー本作は“マナー”と“バトル”を組み合わせた非常にユニークな作品ですが、創作のきっかけはありますか？
SNSなどでたびたび「マナー講師」が話題になっていたことと、とりあえず何でも戦わせてみたら面白いんじゃないかと言う思いつきで描き始めました。就活時に、「就活マナー」、食事では「テーブルマナー」など、明確なルールではないのに守らなければいけないものとして「マナー」があることに面白みを感じたこともきっかけです。
ーー昨今、さまざまなシーンでの行き過ぎたマナーなどについて話題になることも多いですが、「マナー」というものをどのように考えますか？
「マナー」にはいい面も悪い面もあり、合理性もありながら無駄もあると思います。「マナー」とは何か、は「遥かなるマナーバトル」でいろいろな角度から語っていきたいと思います。
ーーたむらさんご自身はマナーの知識をどのようにして得ていらっしゃるのでしょうか？
ネットの記事や、マナーハウツー本、礼儀文化の歴史についての本、実生活などから得ています。「マナー」「礼儀」の歴史は長く深いので、もっとたくさんの本などを参考にしていきたいです。また、作中には私の創作マナーも多少含まれています。
ーー作中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
光上さんがバウムクーヘンを食べるシーンが好きです。美味しそうに物を食べる人は魅力的ですね。
ーー本作は連載が決まりましたが、今後の展望や目標をお教えください。
アニメ化、ドラマ化等のオファーを待っています。実際にマナーバトルをやってみるイベントとかがあっても面白いかもしれません。マナーハウツー本も出せると嬉しいですね。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
