新、動揺「バカなこと言いなさんなっ!」
その頃、「長屋」では、茂が余命宣告を受け、近々会長の座を勇退する動きがあった。しかし、新は「そんなきれいな花道は絶対に歩かせない」と、必ず自分の手で会長の座から引きずり下ろす決意を強める。そして社外取締役の中で唯一の会長支持者を追い出し、その空席に葵を送りこむ作戦を立てた。
支持者を増やすための打ち合わせを、葵と新が2人でしているとき、優香から誘いの電話が。しかし、今は仕事中。彼女の誘いを断る新だが、何となく心残りの様子を見せる。そんな彼に「こっちは恋愛もできず徹夜で仕事してるってのに、誰かさんは女とイチャついて…」とイヤミを言う葵。すると、新は逆ギレし始めた。「オレに“好き”って言うのは、もうやめてくれよ!オレは葵のことを女として見てない」。4年ぶりに繰り出された傷つけワード…。だが、今の葵はこんな言葉ではびくともしない。「わかってます。会いに行ってください」。新は怒って部屋を出て行った…かと思ったら即座に戻り、「何でオレが後ろめたく感じなきゃいけないんだ?何でこんなに気まずい思いしなきゃいけないんだよっっ!」と、泣きそうな顔で感情を爆発させた。
その後すぐに冷静になり「あ、ごめん…間違えた」と、何を誰にどう間違えたのか、もう言ってることがメチャクチャ。そんな新に最初はビックリした様子だが、次第に愛しそうな笑顔に変わって見つめていた葵。「適当に片づけたら帰っていいから」と、その場を取り繕って帰ろうとする新を引き止め、「もしかして…私のこと…。やっと私が女に見えてきたんですね?」と、彼の顔を覗き込みながら尋ねた。
図星を突かれたのか、自分でも気づいていなかった感情に驚いたのか、動揺した彼は「オマッ…バカなこと言いなさんなっ!」と、普段の会話ではおよそ使わない言い回しで怒鳴って出て行った。この言葉から新がどれだけ動揺していたかが伝わった。こんな彼がかわいくて愛しくて、そして恋が少しだけ動いたことを感じた葵は、1人部屋でくるくる回るのだった。
優香といるところを見て飛び出した葵に新は…
支持者を増やすために日夜駆け回っていた葵は、久々に龍二と会い、飲みに行くことに。店に着くと、そこには新と優香が。ちょうど優香に「私のこと好きって言ってよ」と、手を握られていたときで、葵はその光景を見てしまう。葵に気づき、優香の手を離す新。いくら好きでいるのは自分の自由と言っても、やはりライバルと一緒に居るところなんて見たくない。先日、自分に少し気持ちが動いたかも知れない、と思っただけに、ショックは大きかったはずだ。葵は店から飛び出してしまった。新は飛び出した葵を反射的に追おうとした、が、彼の腕をつかみ、「行かないで!」と言う優香。
「葵さんのこと、好きなの?」ときかれた新は、以前のように即座に「違う」と言えなかった。優香は「15年だよ?新だけは私を好きでいてよ!」と涙目で訴えるが、新は「わかってるんだけど…」としか返せない。困った様子の彼を見て「冗談!」と、葵を追いかけろ、と言う優香をしばらく見つめて、彼は店を飛び出した。
葵が優香のところに行け、と言ったときは結局戻ってきたのに、優香が葵を追いかけろと言った今、葵を追いかけた…新の気持ちに変化があった表れなのだろうか。15年間求め続けた女とこの数年自分のために全てを捧げた女…この三角関係の行方からますます目が離せなくなった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部