上川隆也のせりふ回しが胸に響く
恵と会ったあと、まだ時間が残っていたが彩子は案内人に「私、もう消えてもいいや」と言う。彩子の本当の願いは、息子をもう一度抱きしめることだったからだ。そんな彩子に案内人は「あきらめる前に今一度、よく思い出して見てください」とアドバイスした。
彩子は夫が夜勤中のため、一人で留守番しながら寝ている息子がいる自宅へ。すると、息子が目覚め、会話し、もう一度抱きしめるという願いもかなえることができた。
実は、恩師の家に向かう前にも自宅に来ていて、息子に姿を見られた彩子。本来は自分が死んだことを知っている人に会うとその時点で現世から姿が消えるはずだった。だが、そうならなかったのは、恵との会話でもあった、子どもが“死”を理解しきれていないことにあった。
最愛の息子と持てた最後の時間は、幸せに満ちていた。
「確証はありませんでしたが、もしそうだとすれば…」と考えていたことを明かした案内人。そして、彩子を最後の扉へと導き、「これから生まれ変わるあなたの人生が、より良いものでありますように」と告げた。
上川演じる案内人の優しく寄り添う姿がなんとも心地よかった。包み込まれるような声の響きで、最後の送る言葉には心に温かいものが広がった。個々違う人々にこれからどう寄り添っていくのかも楽しみだ。
亡くなった者の視点で死に向き合う、号泣必至の物語。次回、9月29日(木)放送の第2話は、肝臓の病で亡くなった浩一(眞島秀和)は、「会いたい人はいない」と案内人に言う。
◆文=ザテレビジョンドラマ部