そして、配信限定エピソードとなる第6話。これはまさしく「四畳半神話大系」の世界観で、原作にもあった「京福電鉄研究会」のエピソード。悪友・小津とのファーストコンタクトで“ワーストコンタクト”となった出会いがあり、小津がサークルの内紛を仕掛け、一旦は消滅したが、小津が原因だと判明し、サークルが復活するなど、小津の本性もしっかりと分かる内容になっている。
小津との腐れ縁を自覚するようになった頃、明石さんと出会う。第5話の冒頭で流れていた、あのシーンである。豪雪の中、何度も倒れながら進んでいく明石さんが落としていったものを届けて、そのキャラが“もちぐま”だということを知った運命的なシーン。
「四畳半神話大系」の新エピソードかと思われたが、明石さんと出会ったことから物語は別の方向に動き出した。明石さんはアパートに頻繁に立ち寄るようになり、「作った映画が批評されました」と、「私」のところに相談にやってきた。映画サークルに所属し、ポンコツ映画を量産している明石さんは、「四畳半タイムマシンブルース」の中の明石さんである。「私」と明石さんと小津が夜道を歩きながら話している中から、第1話で撮影していた映画のアイデアが生まれる瞬間が描かれていたりして、気になっていた細かい部分がすっきりと解決できる“前日譚”だった。
全く別の世界の出来事だと思って見ていたら、気付いたら「四畳半タイムマシンブルース」へとつながる重要なエピソードになっていた。第6話を見てしまったら、その“続き”となる第1話をもう一度見たいと思う気持ちが強くなり、無意識のうちに第1話を再生。そういうふうに無限ループさせるところも“悪魔的”だと言えるだろう。ぜひ2巡目も楽しんでもらいたい。
なお、「四畳半タイムマシンブルース」は現在ディズニープラスで配信中。9月30日から3週間限定で全国の映画館でも公開されている。
◆文=田中隆信
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-tatami-time-machine-blues/
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