コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ネコロスさんの『言葉はボール』を紹介。現代社会で浮き彫りになっている問題を“ストレート”な描写で描くネコロスさんの漫画は、たびたびTwitter上で多数のいいねや反響コメントを集めている。『言葉はボール』も、コミュニケーションについて問題提起するような、シンプルながら考えさせられる内容の作品だ。この記事では作者であるネコロスさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
コミュニケーションをキャッチボールになぞらえて表現
コミュニケーションは「言葉のキャッチボール」などとよく言われる。しかし近年、SNSでは誰もが気軽に自分の意見や思いを投稿できることを逆手にとり、強い批判をしたり悪口を送りつけたりするなど、一方的な誹謗中傷が深刻化している。そんな中、「意見はな」「ミットに向けて投げる球だ」と提起し、「誹謗中傷はな」「人間を狙って投げる球だ」とSNSでの誹謗中傷の現実に迫った4コマ漫画が『言葉はボール』である。
シンプルな作品だが、妙に納得できる表現が共感を呼び、10月4日に投稿されたこの4コマ漫画には3.6万(10月17日現在)を超えるいいねと共に、「言葉のデッドボール」「わかりやすくていいな」「的確すぎる」など、多くのコメントが寄せられた。
「読者の想像の余地」を大事に。作者・ネコロスさんの漫画創作のこだわりとは
――ネコロスさんは、現代社会にある「違和感」をテーマにした漫画をたびたび発信しているようにお見受けします。今回、「誹謗中傷」をテーマに4コマ漫画を創作しようと思ったきっかけや理由があればお教えください。
「SNSでの誹謗中傷」というテーマについて、ずっと描きたいと思っていました。ですが、どうにも説教がましいような漫画しか描けなかったんですね。そういう漫画も啓蒙としてはいいんでしょうけど、もっとストレートな表現で描きたい。そう思っていたところ、あるとき「そうだ。コミュニケーションってキャッチボールじゃん」と頭に浮かび、ボールの投げ方になぞらえて表現してみたのがこの作品です。
――『言葉はボール』に限らず、社会を風刺するような作品描くうえでこだわっている点や、気を付けていることがあればお教えください。
言葉やセリフ頼みで表現を完結しないようにしています。やはり漫画ですから、絵とかも大事ですし、あとは余白の部分というか、「読者の想像の余地」みたいなものも大事にしています。その結果、人によって漫画の解釈が分かれてしまうこともしばしばありますが…それも一つの漫画のあり方かなと思っています。
――ほぼ毎日Twitter上で4コマ漫画を発信されていますが、テーマの着想はどのようなところから得ているのかお教えください。
トレンドになっていることがあれば、飛びついて描きます 笑。ですが、そういうことばかりでもありませんからね。そういうときは音楽をきいて、「今自分が表現したいものはなにか?」を自問自答します。何も浮かんでこなかったら、とりあえずネコを描きます。
――これまでに投稿された多くのマンガで、反響が大きかったものやご自身が気に入っているものなどがあればお教えください
イエロードッグプロジェクトを紹介した漫画と、ワーキングママを励ますつもりで描いた漫画、あとこれも誹謗中傷がテーマですが、檻から出てくるライオンの話は反響が大きかったです。ただ、自分が本当に気に入っているものはだいたい反響が薄かったりしますね…。
――今後の展望や目標があれば教えてください。
もっといろんなジャンルの漫画を描いて、できれば書籍にまとめたいですね。電子書籍でも構いませんが。あと、私の漫画に看板となるキャラがいませんので、魅力的なキャラクターも生み出していきたいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも読んでいただきありがとうございます。私の描く漫画は4コマ漫画ですが、実は5コマ漫画と思って描いてます。5コマ目を描くのは、他ならぬ読者のあなたです。
漫画を通じて「あぁ、こういう話なのかな」でもいいですし「んー。これはちょっと自分の考えとは違うかな」でもいいです。何がしか余韻が残ったのなら、これ以上の喜びはありません。これからも期待していてください!