
「エルピス―希望、あるいは災い―」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)が12月26日の放送でついに完結した。共演者に手をつけたことへの口止めとして始まったえん罪疑惑の解明は副総理の大スキャンダルという思わぬ事件にまで発展し、どう決着するのか視聴者をやきもきさせ、番組開始前に既に「#エルピス」がトレンド入り。オンエア中も順位を上げ、終了後にはついに1位に。そして明け方まで10位内にとどまるほど、この衝撃作について熱く語られた。
「お兄ちゃんは、今いません」「キミ、ひとりっ子だよね」
この作品は、アナウンサー・浅川恵那(長澤まさみ)が連続殺人事件のえん罪疑惑を追う中で、仲間たちと共に一度は失った“自分の価値”を取り戻していく姿を描く社会派エンターテインメント。作品中で扱われている事件は、実際に起きた複数の事件から着想を得ている。
また、タイトルの「エルピス」とは、「希望」とも「厄災」とも訳される古代ギリシャ神話に出てくる言葉。“えん罪の再調査”というパンドラの箱を開けてしまった恵那や拓朗(眞栄田郷敦)らが行き着く先はどちらなのか…という意味が込められている。(以下、ネタバレを含みます)

村井(岡部たかし)が報道人として誰よりも大切にしていたはずの場所―「ニュース8」のスタジオで暴れてセットを破壊した真意が知りたくて、拓朗の元を尋ねた恵那。
拓朗は、大門亨(迫田孝也)の死が自分のせいだと自責の念にかられ、また、闇の深さや自分が相手にしようとしていた敵の想定をはるかに超える巨大さに今さらながら気づいて怯え、自宅に引きこもっていた。
岸本家のインターホンを何度も押す恵那に、か細い声の人物が応答した。「お兄ちゃんは、今いません」…。「キミ、ひとりっ子だよね?」。恵那に瞬殺されて、拓朗は仕方なく彼女を家に上げた。こんなヘタクソでバレバレのウソで騙せると思ったのだろうか。とっさに出てきたのが、“いもしない妹のフリ”というくだらなさに思わず吹いてしまった。このドラマはこういった“緊張と緩和”のバランスが絶妙なのだ。
「希望って、誰かを信じられることなんだね」

恵那は、拓朗から亨の証言の録音や彼が自殺ではなく他殺だったことを聞かされ、怒りに火が点いた。「こてんぱんに負けました。降ります。やっぱりむちゃくちゃ強いんで…」と自分の無力さを痛感して諦めようとしている拓朗に、絶対諦めるのはイヤだと語気を強め、恵那は拓朗のこのスクープを持ち帰ろうとした。「殺されますって、マジで!!」と彼女を止めようとする拓朗に、「何で殺されなきゃいけないのよ!」と恵那はありったけの声で怒鳴り返した。
続けて「自分の仕事をちゃんとやりたいだけじゃん。1人の人間としてまともに生きたいだけじゃん。何にもむちゃなこと望んでない」と訴え、「こんなにも心の中の一番大事なモノを押し潰されながら、どうやって生きていけばいいんだよ。どうやって希望を持てばいいんだよ」との言葉と共に、今まで無理やり飲み込んできたモノを吐き出しているようだった。
そして、ボイスレコーダーから聞こえた亨の「真実を拓朗に預けることができて、真っ暗闇の中に一筋細い光が射したような気持ちです」という言葉を聞いた恵那は、「希望って、誰かを信じられることなんだね」と気づき、自分の前にいつもいた拓朗に感謝するのだった。
信じることが希望なら、拓朗にとっても恵那が希望だった。だが彼女は、本意ではなかったにせよ、裏切り報道でそれを粉々に砕いたのだ。自分も誰かの“希望”になっている―恵那にはそれに気づいてほしかったし、感謝以上に詫びてほしかった。自分の弱さやグラついた心が、どれだけ拓朗を傷つけ絶望させたのかも分かったのだろうか。
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