役作りには「鎌倉殿の13人」での経験も活かして
ーー家光は女性でありながら男性のように生きるという非常に難しい役どころですが、どのように役作りを?
クランクインする前に男性の立ち座りや歩き方などの基本の所作は教えていただきました。1日の収録の中でも女将軍をやっていたかと思ったら次のシーンでは小姓になっていたりなど、扮装替えが多いのですが、小姓のヘアメイクをしていただいているときにはわざと足を開いて、そこから気持ちを作っていったりしています。
あとは、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年、NHK総合ほか)でご一緒した男性の皆さんの所作から「立つときは手をついたらいけないんだな」などといった細かい部分を思い出したりもしています。
間違いなく代表作になったと確信
ーー家光とご自分の似ている点や、共感できる部分を教えてください。
似ている部分は...なさそうです(笑)。私は普段あまり怒ることがないのですが、家光は突発的に怒りのメーターが0から100に動く性格です。
とはいえ、根本的な悩みや人間の弱さみたいなところでは共通する部分があると思います。私はこれまで役とプライベートの切り替えができるタイプだったのですが、今回は日常生活にも支障があるほどに結構引きずっていて。泣きの芝居でも、これまでは「明日泣かなきゃいけないんだな」と少し憂鬱になることもあったのですが、今回は勝手に涙が出てきたりするほどなので、これまでになく自分の存在を役に近づけられているんじゃないかと感じています。
これは受け取ってくださった方が感じるものではありますが、自分にとっては間違いなく代表作になったと確信しているので、本当に多くの方に見ていただきたいです。
ーー演じる上で気をつけていることを教えてください。
ドラマの収録だと順撮りができないので、収録シーンの前後でどういうことが起きたのか、家光が誰と出会って、どう心が動いて変わっていったのか、皆さんと共通認識を持ちながら収録するようにしています。
それこそ、私がクランクインしたのは「移りゆくの、世は」というセリフからだったのですが、家光がいろんなことを見て行った上で時代の変化を感じた、という言葉なので、逆算して演じる必要がありました。
小笹 博美
kozasa hiromi