「光と影を見てもらいたい」――現代社会に一石を投じる
――同作では、「社会問題に鋭く切り込む」ことをうたわれていますが、現代社会が抱える闇とは具体的にどんなことだと思いますか?
一個人の意見でしかないのですが、多様性が“あるようでない”と思っています。世界中と簡単につながれるようになって、文化や考え方が一気に押し寄せてきたような印象を持っていて、多様性が大事だと声高に叫ばれているわりには、自分たちの許容が追い付いていないし、価値観の中に浸透していないと思います。
社会全体が少し暗い方向に傾いてきている中、マジョリティーに対して声を上げにくくなっていて、いつの間にか言いたいことが言えなくなってきている気がします。SNSでも本当は簡単に声を上げられるはずなのに、言いたいことが言えなくなってきていることに、少し生きづらさを感じますね。
――それらを踏まえ、このドラマを通して視聴者にはどんなことを感じてほしいですか?
最終的には、見た人が自由に解釈して、自由に受け止めてほしいなと思っていますが、茜が行う“社会的な制裁”と、“社会的な制裁”をした結果向き合わなくてはいけないことの両面を描きたいという思いで作っているので、その光と影を見てもらいたいです。
――倉地さんの考えるドラマのあるべき形、今後目指すドラマの形を教えてください。
誰かの心に残る作品を目指すのが、あるべき形だとは思います。「silent」(2022年、フジテレビ系)とかとてもいい例だと思います。僕で言うと、「踊る大捜査線」(1997年、フジテレビ系)とか、「やまとなでしこ」(2000年、フジテレビ系)、「プライド」(2004年、フジテレビ系)とかなのですが、誰かの人生に影響を与えるような作品を目指すつもりで、いつもドラマを作っています。
それは、もちろんエンタメじゃなくても、ドキュメンタリーでもどんな作品でもいいと思いますが、長く愛されるような強度のあるものを目指していきたいと思います。