「最初から馬場さんがいいなと思っていた」
――馬場ふみかさんの起用理由を教えてください。
実は、最初から馬場さんがいいなと思っていたんです。お芝居もお上手で、前回「DIVE!!」(2021年、テレビ東京系)というドラマでご一緒したときには、若者の成長を促すメンター的な役割だったので、もうちょっと違う馬場さんを見てみたいなと。
また、繊細な心情の機微の表現がすごくうまいんですよね。それを実際に現場で見ていたので、企画書を作ってすぐに馬場さんにお願いしました。
――実際に撮影に入ってみて、手応えはいかがですか?
すごくいいです。想像以上です。難しいのが、今作はすごく茜に寄り掛かった作品で、茜は悲劇のヒロインでありながら究極の加害者でもあるんですよね。
命は奪わずに社会的に居場所をなくしていくという、現代社会において一番されたくない残虐な拷問みたいなことをするわけですが、それでいても視聴者が茜を応援できるようなつくりにしなくてはいけないんです。
茜がやってきたことを受け止めることまでが茜自身の役割だと思っているのですが、馬場さんはしっかりと応えてくれています。今までにない馬場さんを見てもらえる気がします。
――続いて、野村周平さんの起用理由を教えてください。
野村さんも「電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-」(2018年、テレビ東京系)という作品以来の“二度目まして”で、すてきな俳優だと思っていたので、野村さんにもストレートにお願いしました。
野村さんも馬場さんと一緒で、感情の機微を言葉以外の表現で伝えるのがとてもうまくて、「電影少女」でも、相手が何か動いたときにする“受けの芝居”がすごくよかったんです。なので、「今回はチャレンジングな役です、面白がってもらえますか?」と打診しました。
加えて、前回1クール一緒にドラマをやって、野村さんが男気のある方だということは理解していたので、大輔という役を野村さんがやったらどうなるのか、化学変化が面白くなるだろうなと思い起用しました。
――すでに化学変化は起きていますか?
はい。例えば第1話は、直接的な暴力描写があるわけではないのですが、すごく絶妙な塩梅のモラハラ加減だったんですね。表現として、目を背けたくなるモラハラではありましたが、積み重なった夫婦のずれをリアルに体現してくれて、本当に怖いなと思ったので、野村さんはやっぱりすごいと思いました。
これは、馬場さんにも言えることなのですが、塩梅や加減が行き過ぎないけど、想像より怖いという絶妙なラインの芝居をずっとしていただいていて、現場で見ていてもすごいなと思いますし、映像としてつながってみると改めてすごいなと思います。
馬場ふみかは現場にぬいぐるみを持参
――他のキャストも含め、現場の雰囲気はいかがですか?
すごく明るく、平和で朗らかな現場です。題材とは似つかわしくないくらい和やかで、楽しい現場です。こんなに明るくいい現場ってなかなかないんです。みんな人に優しいです。
――何か裏話があれば、ぜひタレコミをお願いします。
馬場さんは、「すみっコぐらし」のぬいぐるみを現場に持ってきていて、映像が映し出されるモニターの近くに置いて愛でています。それがちょっと意外でした。あとは、「non-no」(集英社)の先輩後輩なので、岡本さんとすごく仲がいいです。
他にも、宮崎美子さん、渡辺いっけいさん、野村さん、馬場さんのシーンのときは、ひたすら馬場さんが3人からきつい言葉を言われていじめられている構図になりがちなのですが、シーンが終わると、宮崎さんが「こんな家族嫌だね〜」と声を掛けていたりと、終始和やかです。
カットがかかると楽しく朗らかな雰囲気になりますし、スタンバイ中も年末年始に何をしていたかなどの話をして和やかに過ごしています。