一星の優しさを知る鈴
次に2人が出会ったのは、鈴の母の葬儀のとき。偶然にも一星は鈴の母の生前整理を担当しており、残された荷物を届けに行ったのだ。
再会に驚きながらも、母が知らないうちに闘病し、自分に迷惑をかけたくないと生前整理していたことに落ち込む鈴。音声認識アプリを活用して鈴の言っていることを理解しようとする一星は、「一人寂しく旅立ったんですね」という言葉に、「寂しかったと決めつけるのは違うんじゃないでしょうか」と返し、荷物の中身を見るように促した。
思い出の品を懐かしみ、離れている間の自分の知らないところで母が楽しんで過ごしていたことを知っていく鈴。
その様子は、遺族の人生にもお節介にも踏み込む一星の人となりを表していた。亡くなった人にも、遺族にも寄り添う優しさだ。
しばらくして、初めの出会いのときに吐しゃ物で汚してしまった一星のマフラーを返しに行った鈴は、母を担当してくれたことに感謝して手話で「ありがとう」のサインをした。ただ、それで終わらず「でも、お前のキス、大したことなかったけどな」とも告げ、一星には笑みがこぼれた。
鈴が孤独に生きるのは、明らかにされた医療裁判を抱えていることも関係しているのだろうか。初めの不意キスは直情的に生きる一星ならではのもので、そんな一星によって鈴は変わっていく。「命の始まりの産婦人科医と命の終わりの遺品整理士」の恋。鈴も一星も職場の仲間たちの雰囲気が明るいのも良く、新たな大人のラブストーリーに期待が高まる。
初めは驚きつつも、ドキドキや優しく温かさのある物語に、視聴者からは「笑って泣けた」「2人とも演技上手いから引き込まれる」「吉高由里子の泣きの演技うますぎ」「匠海くんの表情の演技がすごい」などの感想が寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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主婦と生活社
発売日: 2022/03/04