本番前にお話を聞ける時間が非常に楽しいです(高橋)
撮影現場は和気あいあいとしているが、芝居の話をすることは少ないという。
「待機している場所では芝居の話は全然しないですね。この間は、ヅメさんが送ってくれた大きなミカンを食べたりして。ちなみに僕は、なぜか年上の俳優の方にかわいがられないことが多いんです。なのでヅメさんくらいかもしれません、こうやって話してくれるのは。そして意外と面白くて重要なのではと感じるのが、本番前に話してくれること。昔の俳優さんの話や映画の話など、僕は存じ上げているけれどご一緒したことがない大俳優の方々の話を聞ける時間は非常に楽しいです」
コロナ禍でイベントが減り、大打撃を受けた花火業界が物語の舞台。個人オーダーを受ける星太郎の元へ、さまざまな依頼が舞い込む。
「花火師の方とお話をさせていただいて気付かされたのは、花火を打ち上げると歓声と拍手は聞こえますが、どう良かったのかという具体的なことが聞こえてこないということ。そしてやっぱり感想が耳に入るとすごくうれしいそうなんです。結局人のつながりというか、他者が存在しないと自分をなかなか定義できないという感覚は、どこか僕たちの仕事に近くて、面白いなと思います。
今回僕が演じる星太郎は、おやじとのコミュニケーションだけで育ってきて、ある意味、他者との関係が取れない純粋無垢(むく)な存在。そんな彼がどう成長していくのか、見届けていただきたいです。日常のささいなことが、星太郎にとっては大きく変わる一歩かもしれないので、さりげない日常を楽しんでください」
取材・文=玉置晴子
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