北野武監督の最新作「首」が、2023年秋に全国公開されることが分かった。北野監督がメガホンをとるのは映画「アウトレイジ 最終章」(2017年)以来6年ぶり19作目となる。4月15日に都内で開催された完成報告会見に北野監督をはじめ、出演する西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋が登壇し、北野監督が完成を迎えた感想や配役のポイントなどを語った。
“本能寺の変”を一大スケールで描く
原作は、北野が2019年に発表した歴史長編小説「首」。映画監督としての初期の代表作に挙げられる「ソナチネ」(1993年)と同時期に構想し、30年にわたって温めてきた戦国スペクタクルだ。生前の黒澤明氏が「北野くんがこれを撮れば『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待を寄せていたという企画の映画化となる。
物語は戦国時代を舞台に、時の戦国武将・羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島)、織田信長(加瀬)、徳川家康(小林薫)らによる“本能寺の変”を一大スケールで描く。信長の跡目を巡って、さまざまな欲望、裏切り、策略が入り乱れ、それぞれの野望が“本能寺”に向かって動き出す。
制作費15億円の規模で、2021年4月~9月に撮影されたという今作。完成を迎え、北野監督は「時代劇でよく見るのはNHKの大河ドラマなんですけど、すごくきれいな出世物語。人間の業とか欲とか裏切りはあまり描かれていないので、『自分が撮ればこうなる』という発想でやろうということになって。結局だいぶ苦労したんですけど、どうにか出来上がりました。もうとにかく今度の映画が出来たのは、スタッフ並びに役者さんのおかげだと思っています。ありがとうございます」と、万感の思いを明かす。
優秀な役者がこれほど集まれば
構想に30年を費やしたという今作。いずれこの企画を映画化しようと思っていたという北野監督は、このタイミングで映画化されることになった理由を「最近になって北野組が集められる役者さんで、優秀な役者がこれほど集まるようになれば、もうそろそろ撮れるな…という感じがあって、やっと実現したという感じです」と、明かす。
今回の登壇者だけでも西島、加瀬、獅童、浅野、大森といずれも主役クラスの役者がズラリとそろっているが、配役は監督が「脚本を書きながら、これはこの人、これはこの人というふうに」と決めたそうで、当初自分は出演しないつもりでいたが、スタッフとの打ち合わせの中で出ることになったという。