「M-1」決勝進出、そして準優勝
努力は裏切らなかった。彼らは決勝進出を決めた。発表の会場に居た、例のクソ社員を見つけた山里は「僕たち、まだ飽きられてないみたいですぅ~」と一発カマして、復讐を遂げた。そして、ついに本番。男女コンビとして、また、女性芸人として初のファイナリストとなった結成1年の南海キャンディーズは、強烈なインパクトを与え、準優勝した。
実際の「M-1グランプリ2004」で、このネタを見た審査員の大御所芸人たちは「見た事がない」「会話と動きを上手くミックスしてる」「新しいカタチの男女コンビ」と、その新鮮さを絶賛していた。
コンビを2度解散し、1人で日本人形を舐めたりして迷走し、やっと理想の相方を得た。何度も味わった悔しさを燃料にして、ボケたい欲を捨て、ノートが何十冊にもなるほど試行錯誤した渾身のネタで、ついに認められたのだ。
山里・しずちゃんの情熱、森本・富田の情熱
ここまでの山里のもがきを見てきた為に、この晴れの舞台で全力で戦っている姿に胸が熱くなり、笑いながらも泣けてきた。加えて、ドラマ内の再現シーンだと忘れて、純粋に漫才を楽しんでいることに気がついた。森本慎太郎と富田望生は、しゃべりの間合い、動き、最後に頭を下げた時に山里が右手でメガネを押し上げるタイミングまで、完璧にトレースしていた。ここまで仕上げるのにはどれだけ練習をしたのだろうか。ただセリフや動きを覚えただけでは出ないライブ感と熱量はすさまじく、森本と富田の情熱も溢れかえっていて、胸が震えた。
オンエアを見ていた山里本人曰く、セリフが一瞬飛びかけた間も、スカーフを直すタイミングも完璧だったそう。そして「森本慎太郎、富田望生、化け物でしょ!」と感動しまくりのツイートを連投していた。
ついに波に乗った南キャンだが、この後、しずちゃんに需要が偏り、コンビ内格差が生まれ始める。再び嫉妬の鬼となる山里は、「フラガール事件」と呼ばれる、しずちゃんの映画出演オファーを潰そうとする悪行を…。せっかく今回「泣いちゃったよ」「山ちゃん、ただのキモくてイヤなヤツじゃなかった!」と急上昇した“山里株”が、次週急降下する事になるだろう…。しかし、それでこそ山里亮太なのだ。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部
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