「やりにげコージー」('04~'05年)、「やりすぎコージー」('05~'11年)、「モヤモヤさまぁ~ず2」('07年~)など数々のヒット番組を手掛け、ついにプライムタイム進出を果たした内村光良司会のお笑い番組「にちようチャップリン」、古舘伊知郎&坂上忍&千原ジュニアのタッグによるトーク番組「おしゃべりオジサンと怒れる女」など、今年春からの新番組も好調。独自の路線をひた走るテレビ東京の中でも、ひときわ挑戦的な番組を世に送り出すヒットメーカー、“伊藤P”こと伊藤隆行プロデューサーに、自身の番組制作へのこだわりや、テレビが向かうべき未来などについて話を聞いた。
テレビ東京に入ったのは“雰囲気入社”です(笑)
――伊藤Pは、テレビ東京入社時は、制作ではなく報道志望だったとか?
「というか、テレビ局を志望していたわけでもないんです。“雰囲気入社”ですね(笑)。だから、報道を志望しとこうかな、くらいのスタンスだったんですけど、入社早々、上司から『おまえみたいなバカが報道に行くと視聴者に迷惑をかける』と言われて、編成部に配属されまして(笑)。で、気付いたら今、制作にいるという。
これを言うと怒られちゃうんですけど、僕は元々、バラエティー好きでも、お笑い好きでもないんです。そもそも、これまで特にハマったものがない。つくづくノンポリだと思いますね。ただ、自分は凹凸でいうと、凹の方の人間なので、逆に凸の人が集まってくるんですね。気付いたら周りは、トンがってる人だらけ(笑)。でもそれは、プロデューサーにとってはプラスなのかなと思います。プロデューサーというのは、周りのスタッフや出演者のやりたいこと=凸の部分を最大化することが仕事なわけで、僕自身が何かが好きである必要はないんじゃないかと。だから僕は、決して“クリエーター”じゃない。あくまでもテレビ制作の仕事に携わっているサラリーマンですね」
――そんな“ノンポリ”のサラリーマンの伊藤プロデューサーですが、テレビ番組を作る上での“ポリシー”は?
「意見をコロコロ変えるようにしてます(笑)。『昨日はこっちが面白いと思ったけど、やっぱりこっちの方が面白い』と思ったら、そのままみんなに伝える。別にみんなを困らせようとしてるわけじゃないし、全体的な方向性はブレたらダメですけど、絶対こうじゃなきゃいけない、というこだわりは要らないと思うんです。それは面白さの幅を狭めちゃうことになるんで。だからきっと、スタッフからは『いい加減な人だな』って思われてるでしょうね。でも、『言ってること違うじゃないですか!』って誰からもツッコまれるキャラでいたいなと。そういう存在は必要だと思うんで」