“天使”の選択と親友の絶叫
まず選ぶ天使として指名されたのは、早乙女菊也(菅生新樹)。彼は「悪いことをしてないし、まずは女から助けたい」ということで桐嶋未来(大原櫻子)を指名する。しかし、「天使」にはもう1つの使命が与えられた。それは「いらないと思う人をナイフで傷つける」というもの。
時間制限を超えればみきおが全員を傷つけるという脅迫を受け、菊也が選んだのはネズだった。仲のいいネズを選んだ理由について、みきおは「許してくれると思った?」と推測したが菊也はそれを否定する。「暴走して、みんなを混乱させたから」と声を絞りだすと、ナイフでネズの腕を切りつけるのだった。
友人に危害を加えさせ、不和を呼ぶような言葉を投げかけるみきお。菊也は、鬼のような表情で彼をにらみつけて「絶対に許さねえ…」と底ごもるような声を吐き出す。だがみきおは当然意に介さず、実験を続けていく。
続いて選ばれたのは、石井礼夏(工藤遥)。彼女が指名したのは当然、実験を免除された小紅だ。しかし実験に参加していない小紅は、「天使」が指名できる「悪魔」ではない。怒りを保たせつつ、復讐(ふくしゅう)の機会を与えないという陰湿なみきおの策略だ。
銃を突きつけられて引き下がった礼夏が、「ねえ、なんでずっとこの髪型だかわかる?」と小紅に語りかける。礼夏は過去に、男子からからかわれて小紅に髪型を変えるか相談したという。そのときに“いまの礼夏がすてき”と小紅に言われた礼夏は、以来髪型を変えなかった。美しく輝く友情の思い出だけに、その友情を破壊した小紅への怒りは止まらない。「なのに…なのになのになのに、ふざけんな!!」と血を吐くような絶叫が、教室に響き渡った。
涙を流しながら「絶対許さないから…!」といい、将矢を切りつけた礼夏。続いて選ばれた葉月依莉奈(紺野彩夏)はネズ、小山内彩(椛島光)は長谷部弘二(佐久本宝)、梶原絃(斎藤流宇)が水野カイト(矢花黎)、橘公平(ゆうたろう)が担任である桜庭橋子(我妻三輪子)、及川龍雄(草野大成)が黒田大輝(西村拓哉)を解放する人間として指名した。
なかでも影響が大きかったのは、依莉奈がネズを救う一幕。彼女は他人に尽くすネズを解放する人間に、自分勝手な将矢を不要な人間に選んだと、理由を自分の言葉ではっきり告げた。そのため、その後の天使が「不要」と選んだのは全員が将矢だ。
インフルエンサーを目指すなどひと一倍承認欲求の強い将矢の傷をえぐりながら、みきおは「痛そうなこの傷の1つひとつが、君が不要な人間である証なんだね」と告げる。後に星野薫子(森カンナ)が公平に取材したところによると、“大惨事”が巻き起こったのはこのあとだったと、不穏な言葉を残して幕が引かれた。