祖父・義浪が教えてくれた“頼る”の本当の意味
その後、薄刃の結界によって美世の身体はどんどん回復していく。一方で、美世は清霞と何も話せず別れてしまったことが気がかりだった。
「旦那様に会わせてほしい」と新にお願いするも、断られてしまう美世。自分と同じように生きる意味を失った空っぽの人間だと思っていた彼女が、何かをねだったことに新は驚いたようだ。
生まれてからこれまで、先祖が決めた掟に逆らうことなく忠実に従ってきたという新。自分だけの役目がほしい……。そんな渇望の末に新が掴もうとしたのは、一族の中で選ばれたものだけが手にする、夢見の力を持つ巫女を守る役目だった。
自分自身の生きがいのためかもしれないが、新の美世を守りたいという思いは誰よりも強い。しかし、長い間、家族から虐げられてきた美世は戸惑う。さらに、義浪から「これからは遠慮せずに頼ってほしい」と言われ、「頼れと言われてもどうしたらいいのか」と零す美世。それがうまくできず、清霞のことも傷つけてしまった。
そんな彼女に義浪が放ったのは、澄美を半ば勘当のような形で突き放してしまった後悔から生まれた、含蓄のある言葉だった。
「自分が抱えきれなくなったものを分け合うのが家族ではないか?頼るというのは他人に丸投げするという意味ではない。一人で持つには重すぎる荷物をいくらか持ってもらうことだとわしは思う」
これまで美世は、誰かに頼れば迷惑をかけると思っていた。そうすれば、嫌われてしまうのではないか。そんな恐れからどんなに小さくとも頼ることを避けてきた美世だったが、義浪の言葉、そして今でも変わらぬ彼の澄美への愛情によって認識が変わる。
美世の清霞に対する思いが周囲の心を動かす
薄刃家に受け継がれてきたのは、強力な異能だけではない。義浪から澄美、澄美から美世へ、家族の絆が脈々と受け継がれてきた。
「いつかきっとこの力が必要になるときが来る」「美世、愛してるわ」
桜の木に眠る母の思いにより、美世の異能の封印が完全に溶ける。それはまるで、タイミングを見計らったかのように……。清霞が任務中に五道(CV:下野紘)をかばい、オクツキの霊に襲われて倒れたのだ。
新から報告を受けた美世はすぐに清霞の元へ駆けつけようとする。しかし、それはできないと新。なぜなら彼は、夢見の巫女を取り戻すために帝(CV:菅生隆之)と取引をして力を貸してもらったからだ。その帝が美世を薄刃に留め置くよう命じたという。
その命に背けば、どんな罰が下るかわからない。だが、それでも義浪は美世を清霞の元へ行かせたいと思った。美世の清霞に対する強い思いが伝わってきたからだ。新もまた、危険に晒されるかもしれぬ美世を守るべく彼女に同行する。
周りを、そして自分自身を突き動かすほど確かな「清霞のそばにいたい」という美世の思い。それが目を覚まさない清霞を救うことにつながるのだろうか。
最終回を前にした怒涛の展開に、SNSには「孫の想いを尊重するおじいちゃんかっこよすぎたよ」「薄刃家ええ人や、疑ってごめん」「新さんの複雑な想いの描写も良い~」「最後は帝との対峙になるか」「今の美世ならばきっと、清霞と本当の意味で向き合えるはず!!!」という意見が集まった。
■取材・文/苫とり子
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/my-happy-marriage
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