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宮沢りえ、“リハウスガール”から36年…常に第一線で輝き続けるスター女優の現在地

2023/09/21 11:10

宮沢りえ
宮沢りえ※2022年ザテレビジョン撮影

“漫画の神様”手塚治虫のライフワークの一つであり、読むたびに心に訴えること間違いなしの大作「火の鳥」。その全12編の中から、「望郷編」を原作とするオリジナルアニメシリーズ「火の鳥 エデンの宙(そら)」が配信中だ。同作のカギを握るキャラクターは、“エデン17”なる惑星に降り立った地球生まれのロミ。今作でロミを好演しているのが、俳優業はもちろん、長年にわたって歌手、朗読、ナレーション、映画の吹き替え、モデル、CMなどで顕著な活動を示している宮沢りえ。今回は音楽をはじめ幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が、宮沢の魅力とともに独自の視点で見どころを紹介する。

「望郷編」初の映像化作品


数多くの名作を手掛けてきたSTUDIO4℃によって初の映像化となった今作の舞台は、人間が地球以外の星へ移住するようになった時代。主人公のロミと恋人のジョージは2人だけの新たな生活を始めるべく惑星・エデン17へと降り立つ。しかしそこは荒廃した土と岩しかない枯れ果てた星だった。必死に水源を探し、畑を耕す毎日の中でロミが妊娠。大喜びするジョージだったが、大地震による事故で彼は帰らぬ人となってしまう。ジョージの忘れ形見でもある息子・カインが将来独りぼっちになることを恐れたロミは、カインに「13年後に目覚める」ことを約束し、自らコールドスリープに入る。しかし、システムの誤作動でロミが目覚めたのは、1300年後のエデン17だった。

面識のある者が誰もいなくなった時代に目覚めたロミを襲ったのは、計り知れないほど強い「ふるさと=地球」への思い。表情や口調こそ穏やかだが、内に秘めているのは尋常ではない激しさ。しかし現状をしっかりと、目をそらさずに受け入れて、明日に向かう。

とんでもない人生経験を持つ女性・ロミを演じるにあたり、宮沢は「時を超え、今を生きる私たちに壮大なメッセージが、舞い降ります。それを受け止め、ロミという女性を演じるのは簡単ではなかったけれど、見てくださった方が、今を生きていること、生きる先にある未来を感じてくださる作品になれば良いなぁと思います」と、コメントを寄せている。

そんな宮沢は小学生の頃からモデル活動を始め、1987年、中学生の頃にテレビCM「三井のリハウス」の初代リハウスガール“白鳥麗子”役で人気を獲得。といっても、大人が盛り上がりを仕掛けたわけではなく、「この美しい子は誰なんだ?」「本当に現実にいるのか?」という感じの声なき声が集積し渦巻いた上での、ごく自然な支持の高まりだったと記憶する。

宮沢りえ
宮沢りえ※2022年ザテレビジョン撮影

初代リハウスガールとして後輩たちに道を作った


以来、リハウスガールの座は蒼井優、川口春奈など幾人もの逸材に受け継がれることになるのだが、それも宮沢が種をまいたからこそ。2021年には、宮沢が30数年ぶりに母親になった白鳥麗子役で同CMに出演したことも話題を集めた。

彼女が一躍注目を浴びた1987年といえば、アイドル史の上では、素人っぽさを打ち出してシーンに新風を吹き込んでいた“おニャン子クラブ”解散の年。スラリとした少女の、神々しいまでのほほ笑みは、それと入れ替わるように画面に登場したのだった。1988年には役者デビュー作にして初主演作である映画「ぼくらの七日間戦争」をヒットさせ、「日本アカデミー賞」新人賞を受賞。このあたりから宮沢、後藤久美子などを中心とする、いわゆる「美少女ブーム」が訪れる。

そして、歌手としての活動も軌道に乗せた。1989年には「ぼくらの七日間戦争」の主題歌「SEVEN DAYS WAR」を担当したTM NETWORKの小室哲哉がデビュー曲「ドリームラッシュ」を提供。安室奈美恵や華原朋美などに関与してヒットチャートを小室サウンドで埋め尽くす、約7年前のことだ。

また、個人的にはセカンドアルバム『Chepop』(1990年)でアメリカのトップミュージシャンを起用していたのも印象に残っている。伝説的ファンク・グループ“ルーファス&チャカ・カーン”のメンバーであるベース奏者のボビー・ワトソン、スティービー・ワンダーのアルバムにも参加しているサックス奏者のロン・ブラウン、スムース・ジャズ界の最高峰のサックス奏者ジェラルド・アルブライトなどすご腕がそろっているのだが、宮沢とソウルミュージック~ファンクの相性は決して悪いものではなく、特にフィロソフィーのダンスや九州女子翼のファンには、ぜひ探し出して聴いてもらえたらと思う。

俳優業に話を戻すと、宮沢は主役としてもバイプレーヤーとしても輝きを放ち、ブルーリボン賞、菊田一夫演劇賞、「東京国際映画祭」最優秀女優賞など、数多くの栄誉に輝くアワード・ウィナーでもある。近年はドラマ「真犯人フラグ」(2021-2022年、日本テレビ系)や大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年、NHK総合ほか)、映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2019年)、「決戦は日曜日」(2022年)とコンスタントに話題作へ出演し、2023年10月13日(金)公開の映画「月」では主演を務める。

浮き沈みの激しい芸能の世界に、少女の頃から第一線に立ち続けることは、並大抵の実力・精神力・対応力では成し遂げられないはず。1980、1990、2000、2010、2020年代と、5つのデケイド(年代)にわたって活動を続ける宮沢は、それこそ1300年後にも語り継がれるべき俳優の1人だ。その現在の“境地”を、「火の鳥 エデンの宙」はしたたかに伝えてくれる。

オリジナルシリーズ「火の鳥 エデンの宙」は、ディズニープラスの「スター」で世界独占配信中。

◆文=原田和典

宮沢りえ
宮沢りえ※2022年ザテレビジョン撮影

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https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/phoenix-eden17/

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