10月6日(金)よりマーベル・スタジオのドラマシリーズ「ロキ」シーズン2が配信スタート。トム・ヒドルストン演じるロキは、“マーベル最新ドラマの主人公”なのだが、決してスーパーヒーローではない。姑息な手段を使ったり、仲間になったかと思えば寝返ったり、裏切ったり、油断ならない“ヴィラン”だが、なぜか憎めない。気が付くと、その魅力に引き込まれてしまうという稀有なキャラクターでもある。そんなロキについて、登場してきたタイムラインに沿って迫る。
“無敵の雷神ソー”の義弟
ロキが最初に登場したのは、2011年公開の劇場映画「マイティ・ソー」。父親であるオーディン(アンソニー・ホプキンス)が統治している神の国“アスガルド”を、ロキは得意のウソと裏切りで支配しようとする。ロキがこういうちょっと“ひねくれた”性格になってしまったのは、義理の兄ソー(クリス・ヘムズワース)の存在も大きいのだろう。ソーは無敵の強さを誇るアスガルドの王子だが、それゆえに傲慢さも感じられたりするわけだが、そんなソーと常に比べられるロキはたまったもんじゃない。
“義理の兄”と書いたが、ロキはオーディンの実の子ではなく、ヨトゥンヘイムのラウフェイ王を倒した時に拾われ、そのまま養子として育てられた。そんな経緯もあって、ロキのキャラクター・人格が形成されていった。この1作目の中で、兄・ソーが王位を継承する日に氷の巨人をアスガルドに侵入させ、戦いを挑まれたソーは結果的に父オーディンの怒りを買い、地球に追放されてしまう。さらに、強力な兵器“デストロイヤー”を地球に送り込み、ソーの抹殺を企てる始末。
最後は懲らしめられてしまうだけだが、2012年の「アベンジャーズ」で復活。ここでは地球で好き勝手やりたい放題という感じだが、そのロキの悪行があったからこそ、史上最強のスーパーヒーロー集団“アベンジャーズ”が誕生したということで、結果としては良かったのか悪かったのか…。
2013年の「マイティ・ソー/ダークワールド」では兄・ソーに助けられて喜んで見せたり、兄をかばって命を落とした(かのように見えた)り、“兄弟愛”を感じさせる部分も。2017年の「マイティ・ソー/バトルロイヤル」では、力で勝負する兄ソーを“頭脳”で助けるなど、ますます兄弟愛、兄弟の絆が感じられ、“憎めないヴィラン(悪役)”というイメージが定着し始めた。
とはいえ、「信頼してはいけない」というのがロキに接する時に肝に銘じておかなくてはいけないことなのは変わらない。2018年の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で、サノスに媚びを売るようなふりをして、兄ソーを救おうとするが、2019年の「アベンジャーズ/エンドゲーム」では偶然手にした“四次元キューブ”を使って逃亡するなど、油断も隙もないという状況は常に付きまとってくる。
個性豊かなMCUのキャラでも唯一無二の存在
MCUのキャラの中でも唯一無二の存在と言えるロキ。得体の知れない感じだったりするが、憎めないキャラということで、どんどんファンも増えていった。“マーベル作品好き”で知られる元NMB48の人気メンバー・井尻晏菜も、ロキファンを公言しており、当メディアの取材に「ロキに対する感情移入が強過ぎて…『アベンジャーズ/エンドゲーム』でロキが死んでしまった時は本気で泣きましたし、それでもロキが帰ってくるんじゃないかと思って、ロキのポシェットを握り締めて最後まで見ていました。ロキに関してはガチ恋なのかな(笑)」と語るほど、熱狂的なファンを抱えている。
そういう声に応える形で、マーベルのオリジナルドラマシリーズに「ロキ」が登場したものと思われる。「エンドゲーム」で消滅した人類の半数と仲間を取り戻すためにアイアンマンたちは過去の世界にやってきた。しかし、ロキは四次元キューブを偶然手に入れ、時空を超えて逃走。アベンジャーズからも逃れることに成功したが、歴史も変えてしまうというやってはいけないことをやってしまう…。
シーズン1では、時空を超えて歴史を変えてしまったロキが、時間の流れを守る組織「TVA(時間変異取締局)」に捕らえられ、世界の時間を修復させるミッションに協力させられるという内容だった。今回のシーズン2では、謎のタイムスリップ現象に遭遇したロキが、世界の破滅という大きな危機を防ぐために奔走するという。
シーズン2でも毎回ハラハラさせられ、時には感動させながらも、華麗に視聴者の期待を裏切ってくれるのだろう。どんな活躍(悪戯)をしてくれるのか楽しみだ。
「ロキ」シーズン2はディズニープラスで10月6日より独占配信。以後、毎週金曜日に新エピソード追加。
◆文=田中隆信