名作映画を紹介する上映イベント「TAIWAN MOVIE WEEK」が10月に開催されたことも記憶に新しく、近年盛り上がりを見せている台湾作品をWEBザテレビジョンでも特集。本記事では、大ヒットした台湾ドラマ「History」シリーズのプロデューサー、ジャン・ティンフェイと「HIStory2 越界」や「HIStory3 那一天 あの日」のツァイ・ミージェ監督が再び組んで制作した台湾ドラマ「About Youth」をチョイス。同ドラマが内包するギャップ萌えの魅力について考察する。
スタートラインが低いからこそ大きくなる“ときめき”の上昇幅
本ドラマは学校のスターであるイエ・グアンと目立たない生徒のシュー・チージャンを中心に出会いと恋を描いたさわやかなラブストーリー。父を亡くし、母と2人暮らしのシュー・チージャンは人生最悪の日に偶然通りかかったイエ・グアンに助けてもらう。後日、シュー・チージャンはイエ・グアンの誕生日を祝うサプライズのプラカードを強制的に持たされて、彼と再会するのだった。
本ドラマのメインカップルのイエ・グアンとシュー・チージャンは正反対と言える属性のまったく異なる者同士だが、彼ら2人ともがそれぞれにギャップ萌えの要素をたくさん持っていて魅力的だ。
ギャップ萌えとは、想像していたキャラクターと実像が違うとわかったときにときめきが発動するもので、もちろんそれは想像よりも良いと認識したときに起こる現象だ。例えば、不良っぽく見えるキャラクターが捨て猫を拾うところを見ると、怖くて冷たい人物に見えたのに実は優しさを持っていたと知って、その人物の好感度がギュンッと急上昇する。真面目な優等生より、不良っぽいキャラクターは優しさ度としてはスタートラインが低いだけに、いざ猫を拾ったときのポイントの上昇幅が大きく、予想していなかった不意打ちの意外性も加わって心の揺さぶりが大きくなるのだ。
はじめは期待させないが、本当はスペックが高い、ギャップ萌えの見本
本ドラマに登場するシュー・チージャンは学校では眼鏡をかけた目立たない生徒だ。学校でも一人で過ごしていることが多い。しかし、彼は実はバンドのボーカルで、歌っているときは眼鏡を外して大きくて綺麗な瞳をあらわにし、アーティストのオーラを漂わせている。普段は華やかには見えない彼なのだが、ライブで歌う彼はとてもカッコよく、学校とはまったく違う一面にドキッとさせられてしまう。
しかも、シュー・チージャンは実は一年遅れて入学しているために年齢はすでに18歳で免許を持っていてバイクにも乗っている。シュー・チージャンがイエ・グアンをバイクの後ろに乗せて家に送ってあげるシーンも登場し、ここでもシュー・チージャンのイメージが学校とは異なり、グッと大人っぽい姿に心拍数は上がることとなる。
また、一見シュー・チージャンはイエ・グアンよりはスペックが高くないように見えるが、料理もできてスパダリ(万能な恋人、スーパーダーリンの略)度が高く、温かい卵スープを作ってイエ・グアンの心も温めてあげるという包容力も見せる。またしてもギャップがあって、イエ・グアンだけでなく、見ているほうもシュー・チージャンにメロメロになってしまう。はじめは期待させないが、本当はカッコよくて大人っぽく、頼りがいもあるというキャラクターはギャップ萌えの見本と言えるだろう。
