ポジティブばかりではない、母性本能くすぐるギャップ萌え
また、ギャップ萌えはポジティブな方向にのみ有効とは限らない。たくましくてさわやかなキャラクターが風邪を引いて弱っている姿を見ると、守ってあげたい気持ちが沸いてキュンとするという場合もある。このときも、か弱いタイプよりも普段たくましいキャラクターのほうが、思いがけない一面に触れて心の振り幅が大きくなり、庇護欲が強く駆り立てられる。どちらにしてもギャップがあることによって通常よりも強く胸打たれてときめきが増幅すると言える。
イエ・グアンはみなに注目されるスターだが、それにもかかわらず人知れず孤独と悩みを抱えて押しつぶされそうになっている。イエ・グアンはセレブな両親を持ちながら誕生日を一人で過ごすような境遇にあり、父親からは成績優秀であるように多大なプレッシャーをかけられている。キラキラと輝く学園のスターが小さな子どものように泣いている姿は、まさにギャップがあり、より一層切なさが増して母性本能をくすぐられるのだ。
そんなイエ・グアンを大きな心で包み込んで支えてあげるのがシュー・チージャンだ。本ドラマのイエ・グアンとシュー・チージャンのような学園スターと目立たない生徒の組み合わせの場合、通常なら学園スターのほうが頼もしくリードしていき、目立たない生徒は守ってもらう側となることが多いが、彼らの場合は逆。ここにもギャップがあり、その意外性にハートを鷲掴みにされてしまうのだ。
このようにイエ・グアンもシュー・チージャンもギャップ萌えの宝庫。いい意味で「思っていたのと違う…!」という気持ちを次々と沸き起こらせてハートの振幅を大きくし、それだけドキドキとときめきをたくさん与えてくれるのだ。ぜひ本ドラマでギャップ萌えの醍醐味を存分に堪能して欲しい。
◆構成・文=牧島史佳