一年という時間をかけて球児キャストの表情も変化
――印象に残っている反響はありますか?
新井:球児キャストたちは元々球児だった人も多いのですが、引退してからかなり時間が経っているんですよ。一番近くても2年、長い人だとプレーしていた頃から5年が経っているので、それが視聴者の方の目にどう映るのかなと思っていたのですが、ちゃんと球児に見えているようで…野球ファンの方からも「フォームがきれい」と言っていただけて、うれしいです。
あとは「すごく成長したな」というコメントや、「1年生のときの顔と現在の顔が全然違う」という感想をよく見ますが、実際私もそう思います。演じ分けているのか、撮影期間を経て彼らが変わったのか…。
昨年の12月に募集を始めて、そこから彼らは野球の練習をスタートさせて、丸一年経っているので、いろいろな思いがあるんだと思います。第8話(12月3日放送)のせりふにもありましたが「もう終わっちゃうのか…」「ずっとやれたらいいな」みたいな感覚が本人たちにもあって。顔つきにも出てきていて、現場でも「エモい、エモい!」って言っていました(笑)。
反響は球児キャストたちの元にも届いているようで、毎日のように「フォロワーが〇人になりました!」って報告に来てくれるんですよ、少年のようですね。
――球児キャストそれぞれがドラマの中で大きく成長しているい印象がありますが、特に変化を感じるキャラクターはどなたでしょうか?
新井:椿谷(伊藤あさひ)は、初心者で入ってきて、ボールにバットが当たらないところからスタートしましたから…まさかキャプテンになるとはって感じですよね。実は、日沖(菅生新樹)たち3年生が卒業したタイミングで、球児たちがまとまらない時期があったんです。
そこで富嶋(福松凜)を呼んで「君がキャプテンなんだから仕切って」とお願いし、富嶋たちが卒業したら椿谷に「キャプテン、仕切って」と。伊藤くんは椿谷を演じていないときもキャプテンとして常に現場を引っ張ってくれました。
――ストーリーに関する裏話があれば教えてください。
新井:実は第9話の準備稿では、向かっている最中に山林で車が故障して「たどり着けないかも!?」という展開で終わろうとしていたのですが…。
奥寺:あったね(笑)。
新井:「やってみたい!」という私のリクエストを受けて脚本に盛り込んでいただいたのですが、改めて読んでみたときに「これいる?」ってなって。
(原案作品には)練習試合のときにバスが壊れて、近くの学校に頼み込んでバスを貸してもらったみたいなことが書いてあったので“ハラハラする展開も必要かな?”と思ったのですが…助監督にも「これいります?普通に着いてよくないですか?」と言われて(笑)。
奥寺:あと実際に第10話を書いてみたら、バスのトラブルを書く余裕がなくなってしまったというのもあり、変更になりました。