慎治「家に戻ってきて…そばに居て欲しいです」
慎治は拓也と兄弟以上の関係と思っていたが、実際に義兄弟になると距離を感じていたと語る。「これ以上あなたの人生に弟が、いや、俺自身が立ち入るのはどうかと思っていたんです。そんなときにたまたま聞いちゃったんです。弟と思ったことはないって。どうしていいかわからなくて逃げ出したんです」と拓也。
「悲しませてごめん。だけど、あれは拓ちゃんが嫌とかじゃなくて…俺にとって拓ちゃんはやっぱり弟以上の存在なんだ」と慎治は言って拓也の手を取って両手で握りしめ、「家に戻ってきて。拓ちゃんがいないの楽しくないよ。また昔みたいに一緒に遊んで、話をして、泣いて、笑って…そばに居て欲しいです」とじっと目を見つめて語りかける。
「なんかプロポーズみたいな言い方ですね」と拓也が言うと「え、そんなつもりじゃ…」と慎治は少し動揺する。拓也がふと笑って「冗談です。俺で良ければ」と答えると、慎治はガバっと抱きついて「拓ちゃん、良かった…良かったよ」と涙声になるのだった。
慎治と拓也の心の距離が縮まった姿にこちらも目頭が熱くなった。
◆構成・文=牧島史佳
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