木村拓哉ら世界各国の豪華出演者が集結したHuluオリジナル「THE SWARM/ザ・スウォーム」。“宇宙よりも謎が深い”と言われる深海を舞台に、世界の海で起きている不可解な現象を追うSFサスペンスだ。いよいよ佳境に入った第7話。深海の知的生命体“イール”とのコンタクトを試みたチームだったが、返ってきたのは思いもよらない反応だった。本記事では、考察を踏まえながら同話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます)
“イール”の拠点と思しき場所、北極海へ
レオン・アナワク(ジョシュア・オジック)が命がけでセットしたクジラに取り付けたカメラの映像。そして沈没したジュノー号を追って海底に走らせた舟艇の記録映像に残っていたイールが発したと思われる音を、天体物理学者のサマンサ・クロウ(シャロン・ダンカン=ブルースター)が分析した。彼女によるとその音は規則性・反復性を示しており、言語に近い波長であるという。そしてそれらの音の発信源は、北極と南極に集中していた。
サマンサの分析を聞いたシグル・ヨハンソン(アレクサンダー・カリム)率いるチームは、未知なる生命体“イール”に立ち向かうべく北極海へ。船のなかでは“イール”について意見を交わすディスカッションがおこなわれた。人や動物と同じように、“イール”にも安全を期した拠点が存在する可能性があると話すサマンサ。船に同乗していたミフネ財団のサトウは、“イール”が極めて高い知性を持っているという彼女の見解に驚きを示す。
レオンの見解やさまざまな情報を突き合わせた結果、シャーロット・“チャーリー”・ワグナー(レオニー・ベネシュ)は、“イール”の生息地の一つが“モロイ海淵”ではと推理した。モロイ海淵は、“イール”が生息すると思われる水深5000mという条件を満たしており、かつこれまで“イール”の発信した信号が集中している地点。なにかが見つかる可能性は高い。
一方、サトウは航路が決まったことをミフネ財団の会長アイト・ミフネ(木村拓哉)に報告していた。報告を聞き終えたミフネは、乗船した者への取材や航海日誌の制作をサトウらに指示。ミフネは最悪な事態、つまり船が戻れなかった場合のことも考えているようだ。
今回の任務と乗船者の記録は厳重に守らなければならないと話したミフネ。もしこの旅でシグルらが帰れなかった場合に、記録さえあればシグルらの功績は消えない。万が一の処置ではあるものの、それが必要な危険のある道行であることは全員が承知していることでもあった。
“イール”が人間の体内に侵入
航海の記録係を志願したアリシアは、研究者へのインタビューなどを映像に収めていく。やがてレオンとサマンサが初めて“イール”との交信を試みる通信実験を始めることになり、同時に潜水艇の試運転も開始される。
通信実験では、“イール”が発信した音に「人間の赤ちゃんの泣き声」を加えた音声を“イール”に向けて放つというもの。音を真似しつつ、最後に別の波長を混ぜることで「ただ繰り返すのではなく、接触の意図がある」ということを伝えるためだ。サマンサとレオンが音を発信すると、しばらくして明らかに反応しているとわかる“音”が聞こえてきた。そして同時に、船の周りで異変が起き始める。
艦内の電気が明滅するといった不気味な現象のほか、チャーリーが乗った試運転中の潜水艦と通信が途絶。さらにソナーには巨大な影が映った。だが実際に水深1500m地点で待機しているチャーリーたちの目には何も映らない。ソナーは潜水艇を囲むように映る巨大な影が浮かんでいるにもかかわらず…。
シグルが危険を感じて音を止めさせても、しばらく“イール”からの応答音声は止まらなかった。だがチャーリーたちが通信途絶という状況に危険を感じて浮上を決めるころには、一旦異変が収まる。サマンサは通信実験で“イール”から受け取ったメッセージの波長をもとに、次回の通信実験で使用するためのイメージを作り出す。サマンサいわく、それは“イール”にも理解できるものだという。
少しずつだが、着実に“イール”へと近づく研究者たち。しかし、再び事件が起きた。突如艦内を停電が襲うと、潜水艦の浮かぶ格納庫にいたアリシアが倒れているのが発見されたのだ。
急ぎ医療室に運ばれたアリシアを、医師のセシル・ローシュ(セシル・ドゥ・フランス)が診る。しかし処置を進めるなか、アリシアの手や足に火傷のような症状が現れ始めた。この原因を追求すべくアリシアの脊髄液を調べると、“イール”が哺乳類たちを操っていたときと同じ物質が。彼女の神経細胞と融合しようとしたことがわかる。
この結果は、即ちアリシアが“イール”と物理的に接触したということに他ならない。そこでチャーリーは潜水艦が船に戻る間際に見た“発光物”について明かした。もしかしたら、潜水艇と一緒に“イール”が船内に侵入したということもありえる。“イール”が船の中にまだいると仮定した一同は新たな犠牲者を出さないために、最善を尽くすのであった。
だが第7話のラスト、サマンサが考案した“生物の進化”の意味を持たせた信号を受けた“イール”が再び反応を示す。その場所は、まさにアリシアが倒れた格納庫のなか。チャーリーは細かな発光体がヒトデやエイ、イカ、ハンマーヘッドシャークなどへ次々姿を変えるようすを見て、魅了されたように瞳を輝かせる。
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
発売日: 2019/12/04