世界的に評価されるダンサー・舞踊家にして俳優としても唯一無二の存在感を放つ田中泯が主演し、海外でも精力的に活動する新田真剣佑が共演するドラマ「フクロウと呼ばれた男」が4月24日より配信スタートした。全10話のうち、まず一挙配信となった第5話までをレビューする。(以下、ネタバレを含みます)
国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマ
同作は、あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件を、時にもみ消し、時に明るみにさらして解決してきた黒幕/フィクサーである“フクロウ”こと大神龍太郎を主人公に、国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマ。龍太郎を田中、父・龍太郎と対極な生き方で“正義”を掲げる次男・大神龍を新田が演じる。
2人を取り巻く家族や政治家キャストとして龍太郎の妻・杏子役に萬田久子、長男・一郎役を安藤政信、長女・影山弓子役を長谷川京子、次女・理沙子役を中田青渚、自由新進党幹事長・竹内創役を中村雅俊、内閣総理大臣・渡辺しおり役を原田美枝子、財務大臣・西條宗助役を大友康平、厚生労働大臣政務官・丸山ひろしを益岡徹が演じ、ガッチリと脇を固めている。
田中泯が全身にまとわせるフィクサーたる空気感
第1話は龍太郎がフィクサーとして暗躍するところから始まる。次期総理候補の筆頭でもある竹内の一人息子にまつわるスキャンダルのもみ消しだ。
竹内を脅したと思われる男に淡々と迫る龍太郎。みるみるうちに男の顔に怯えの表情が浮かぶ。「あんたの目…まさか。あの男…。すべてお見通し。どんな地位もカネも支配する男…。あんたが、フクロウ?」と。龍太郎は「そんな男は存在しない」と言うも、男は焦って逃げ出したところで、警察に囲まれた。
この短いシーンで、なんという存在感。銀幕デビューとなった映画「たそがれ清兵衛」(2002年)で、主人公の敵役として鮮烈な印象を残した存在感が、時を経て進化している。龍太郎とその男が会ったのは工場のようなところで、暗い。龍太郎の顔もくっきりはっきり見えないようなカメラワークで、発する声と全身からにじみ出るような空気感と共に、その“目”がいかに恐ろしいものであるかを想像させる。
フクロウは、幸せを呼ぶなど縁起がいいとされる一方で、闇を好むからだろうか、悪魔や死の象徴といわれることもあるという。龍太郎がダークヒーローさながらの活躍をするのは、「道筋を正す」という信念のため。「国のために、なすべきことをなす」龍太郎の“フクロウ”という呼び名の真の意味がどちらなのか、ゾクゾクする。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/house-of-the-owl/
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