ホームレス親子の「理想の家」とタツヤの「理想のカフェ」が対比的に描かれている
今回の物語は、ホームレス親子が思い描く「理想の家」、そしてタツヤが思い描いてきた「理想のカフェ」が対比的な形で語られていく。
ホームレスの親子は、おもに父親が語っていて、息子は聞き役に回っている。父親が「家を建てるならまず門が大事だ」というと、それに相槌を打ちながら「顔を見たらどんな人か大体分かるもんね」と父親の意見を肯定して受け入れる。「西洋風、ロココ調、スペイン風もいい。イギリス風も悪くないが大袈裟すぎる」とか父親が思い描く門のイメージを、息子は嫌がったり面倒くさがらずに聞いてあげている。そういうところが中学生にしてはちょっと大人びたところだといえる。
タツヤも島たちとの会議で理想のカフェにするために意見をどんどん出していく。「自動ドアはコストがかかるので観音開きはどうですか?」といった現実的な意見も交えつつ。タツヤがまだカフェの名前を決めてないと話すと、島は「スタスィオンってどうかな?」と提案。フランス語で「駅」という意味で、“どですかでん”と街の中でひとり電車を走らせている六ちゃん(濱田岳)からインスパイアされたという。
ある出来事がきっかけで「理想のカフェ」も夢のままに
カフェに関する住民説明会の日取りが決まったが、その直前に大きな出来事が起こった。ホームレスの息子がお店で食べ物をもらう時に「必ず火を通して食べて」と言われた魚を、ガスコンロが切れていたため、そのまま食べてしまい、親子で腹痛に苦しむこととなった。
父親は数日後に回復したが、息子は日に日に衰弱していくばかり。病院に行くことも救急車を呼ぶこともできず、途方にくれる父親。
そんな状態の息子を半助たちが発見し、たんば(ベンガル)が医者を呼んだが結局間に合わなかった。その息子が父親に最後のお願いとして伝えたのが「プールを作ろうよ」だった。
その息子の妄想の中では、プール付きの豪邸が存在し、そこに勢いよく飛び込んでいく姿も見えた。
カフェの説明会に参加した住人は3人だけ。ホームレス親子の悲しい出来事があったばかりで、カフェどころではないというのが街の住人たちの心境だろう。タツヤの夢だった「理想のカフェ」建設も、夢のままとなってしまった。
街の取り壊しの話が出ている中、希望だったカフェ建設が不可能になったことで、“街”の終わりがさらに近づいてしまったのかもしれない。この出来事が“終わり”の始まりなのだろうか。残すところあと4話。“街”がどうなるのか終盤の展開から目が離せない。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/a-town-without-seasons/
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