【テレビの開拓者たち / 石川淳一】目指すのは「作り手の気概が感じられる作品」
“引っ掛かりがあるもの”を作らないとダメだという強迫観念があるんです
――ドラマ・映画に限らず、今後どのような作品を作りたいですか?
「基本的には、笑えて泣ける話が好きなんですが、やっぱりいろんな作品にトライしてみたいですね。大林宣彦監督の尾道三部作(「転校生」[1982年]、「時をかける少女」[1983年]、「さびしんぼう」[1985年])のような、抒情的で青春感のあるものとか、自分の過去作で言うと『任侠ヘルパー』のような、ハードボイルドでありながら人間味を感じさせるものとか。いずれにしろ、敷居の低さは保ちつつ、見る人の心にガツンと残るようなものを作っていきたいなと。今のご時世、ならされたものというか、万人受けする作品が求められがちじゃないですか。そんな中で、『僕たちがやりました』(2017年フジ系)や、『ハロー張りネズミ』(2017年TBS系)みたいなドラマが出てくるのは素晴らしいことだと思うんです。ああいう作り手の気概が感じられるような作品を、自分も作りたいと思いますね。
あと、最近よく思うのは、今はインターネット配信なんかも出てきて、たくさんの作品が簡単に見られるようになってますよね。海外ドラマもすぐに見られるし、YouTubeなんて、一般の方が映像作家になれてしまうわけでしょう。そんな風に映像作品があふれる中で、自分が作品を作るときは、どこか引っ掛かりがあるものにしないとダメだという、ある種の強迫観念があって。でないと、一度見ただけですぐに忘れられちゃうんじゃないかって(笑)」