独断と偏見のレビュー
既に予告や事前番組などでディーンがどういう経緯で“復讐鬼”になるのか、というのはざっくり知っていたし、取り巻きの人間が怪しい雰囲気であるというのも何となく分かっていたが、それでも最後までドキドキが味わえた。
とにかく“幸せ絶頂期”のラブラブっぷりには、申し訳ないが「嫉妬」に似た感情を抱いてしまった。
名曲「愛は勝つ」(KAN)にノった漁港での“フラッシュモブ”的なサプライズプロポーズ、「悪いな臭ぇだろ」(ディーン)、「クッセー、ほんとクッセー」(山本)という信頼と愛がなせるやりとり、「おまえ、めっちゃかわいいな~!」(ディーン)、「だろ?(ドヤッ)」(山本)という、ストレートだけど過剰ではないイチャつきっぷり。
ちょうどいいラブラブ感を演出するにふさわしいせりふ回し&距離感で、ファンは覚悟しておいた方がいい。放送中のSNSはディーン&山本双方のファンからそれこそ嫉妬めいたつぶやきが相次ぎそうだ。
いや、しかし山本の笑顔は巌窟王ならぬ眼福王もビックリの美しさだ。って、いつかフランス“出禁”になるな。
さておき昨年の「刑事ゆがみ」もそうだったが、フジテレビ系“木10”×山本美月の組み合わせは黄金比率かもしれない。前回とは全然違うタイプだが、今回のキャラも非常に魅力的だ。
もちろんディーン様は、ボロボロの姿でもディーン様。あの瞳の輝きは少し汚れたくらいでは失われない。
幸せの絶頂を見れば見るほど、“どん底”に立たされた時の悲壮感がより色濃く見える。太陽がまぶしければまぶしいほど、陽が沈んだときの闇は果てしない。
格好良く言った感じで全く中身のない言葉だが、この作品を見ていたらそんな言葉が浮かんできた。
ちなみにディーン自身、インタビューでこんなことを言っていた。
「幸せなころの暖と、復讐のマシンと化した暖の差は楽しみにしていただきたいところです。投獄されたときの暖は、社会的にも精神的にも一回死んだようなもの。
だから、そこから復活したときの暖は、悪魔やバンパイアのような、人間の世界とは全く別次元の存在として転生させたいです」
その言葉の片鱗を第1話で既に見た気がする。ディーンのメトロノーム以上に明・暗に振り切れた演技は、期待を裏切らなそうだ。
ほか、最近この手の立ち位置が多い印象の高橋に、“イヤミ”じゃない木下ほうかの新鮮味、主人公の母親役をやらせたら右に出る者はいない風吹ジュンも当然いい味を出しているが、個人的にはやはり新井のアニキが気になる。
作品のテイストからか、周りの人間みんな“疑わしく見せている”のは当然狙いなのだろうが、新井のアニキに関してはもう怪しいを通り越して実は逆に怪しくないんじゃないかとすら思わせる、深みがある。
また、“大根役者”役の大倉も好感。ジャニーズの方々は、必要以上にイケメンアレルギーの男の嫉妬で(?)、普通にうまくても「大根」などと陰口をたたかれてしまいがちだが、そういう嫉妬に関しては本当にやめた方がいい。
少なくとも今回に関しては、“食わず嫌い”をせずにイチ役者としての彼を見た方が良さそうだ。大根役者、暖の親友、暖&すみれへの複雑な思い…とさまざまな顔を見せてくれる。
嫉妬、疑心暗鬼、出る杭は打たれる、目には目を歯には歯を、といろいろな要素があるドラマだと思うが、きっと最後に愛は勝つ…といいな。
うん、そんな単純な話ではあるまい。
文=人見知りシャイボーイ