映像化は一つの夢なので、そこにはやはり計算があります
――先ほど「相棒」のお話が出ましたが、刑事ドラマから影響されることはありますか?
小説の場合、文字だけで書いていると、どうしてもストーリー中心に話が進んでしまいます。ツッコむ人がいないので、読み直してみると、つじつまが合っていないなと思うことがあります。
でもドラマの場合、細かい設定がなかったとしても、俳優さんの演技や演出一つで面白くなりますよね。見せ方として、どうやったら面白くなるのか、考え抜かれていると思います。照明や音楽、演出のテンポなど、ドラマは総合芸術のように作られているので、映像だからこそ、この見せ方をするんだと感じるんです。
特に、人間ドラマの部分は非常に参考になります。登場人物同士の掛け合いは、映像だからこそ臨場感が出ます。文字だけだと気付かないことも多いので、すごく勉強になりますね。
――執筆の際に、映像化は意識されていますか?
そうですね…(笑)。小説家として映像化は一つの夢なので、実現したらいいなと思いながら執筆しています。幸いなことに、私の作品は映像化に向いていると言っていただけるのですが、そこにはやはり計算があります。
途中で退屈しないように、テンポよく事件を起こしていこうとか、キャラクターがただの道案内にならないようにするとか。捜査を引っ張っていくバディに魅力がないと駄目なので、2人の設定をいかに面白くするか、いつも考えています。小説がそのまま映像になるわけではないのですが、作品のテイストは汲み取っていただけるんじゃないかと思っています。
――原作者である麻見さんから見た、このドラマの楽しみ方、そして、原作の楽しみ方を教えてください。
原作は警察小説という形を取りながら、謎解き=ミステリーの部分に重点を置いて書きました。ドラマのほうは、過去の事件と現在の事件がどうつながるんだろう、というところに注目していただきながら、ユーモアの部分も楽しんでいただけるかと思います。非常に中身の濃いドラマになっています。
そこから原作に興味を持っていただけるとうれしいですね。キャラクター設定は一部異なりますが、世界観は共通していると思うので、この小説がベースになってドラマが生まれたんだ、というふうに比較しながら見てくださると幸いです。また、小説では文書捜査に関するヒントなどが、そのまま文字や文章の形で出てきますので、そうした違いも楽しんでいただければと思います。
原作のシリーズもまだまだ続きますので、どうかご期待ください!