東出昌大が“純文学小説のモデル”に!著者・柴崎友香氏「これはご縁があるな、と」
芥川賞作家・柴崎友香氏が俳優・東出昌大をイメージして執筆した純文学小説「つかのまのこと」の発売記念トークイベントが9月16日に行われ、著者の柴崎氏と作品の“モデル”を務めた東出が登壇した。
「つかのまのこと」は、柴崎氏が東出をイメージした綴った物語に、写真家・市橋織江氏が東出をモデルに撮り下ろした写真が散りばめられた作品。かつての住み家であったのであろう、“この家”をさまよい続ける幽霊・“わたし”の物語だ。
なぜ“わたし”はさまよい続けているのか…。その理由がわからないままに時は移り変わり、家には次々と新しい住人たちがやってくる。彼らの光景を見守り続ける“わたし”は、思いもよらないラストを迎える――。
実は、東出は現在公開中の柴崎氏原作の映画『寝ても覚めても』でも主演を務めている。だが、2人がタッグを組んだこの2作品がほぼ同時期に世に出たことは、まったくの偶然だという。
柴崎氏は「この本の企画をいただいて、東出さんにお会いして。(『寝ても覚めても』の映画化を聞いたのは)その少し後ですね。でも本当に近い時期だったんです。これはご縁があるな、どちらもいいものができるんじゃないかな、という気がしました」と回想。一方、東出は「僕のほうは、企画が成立した後にお話をいただくということもあって、今回のことも偶然というより“必然”だったのかなという思いです」と、同時期に2つの柴崎作品にかかわることになった経緯を振り返った。
柴崎氏、東出は「独特の存在感がある」
東出をイメージしたというこの作品で、役柄は“幽霊”。意表をつく設定について、柴崎氏は「(東出は)ちょっと違う世界を見ているような独特の存在感がある俳優さんだなと思っていたので、現実世界と別の世界の“すきま”にいる存在を描いてみたいと思ったのと、私は大阪の出身で『ごちそうさん』が好きで、地下鉄の御堂筋線を作ったエピソードが印象に残っていたので、主人公をちょっと古い時代と現代をつなぐ存在として書きたいなというのがあったんです。幽霊といえば幽霊なんですけど、家に意識があったらこんな感じかなと」と、東出が出演した連続テレビ小説『ごちそうさん』(2013年、NHK総合ほか)を挙げつつ着想の経緯を語った。
著者:柴崎友香
写真(モデル):東出昌大
発売中 定価1,500円(税別)
発行:KADOKAWA