＜いだてん＞橋本愛、第1部フィナーレ“復興運動会”シーンは「何度読んでいても涙が出てくる」
小梅は理想とする江戸っ子に、自分を当てはめて生きているような感じ
――小梅は、熊本・阿蘇から東京に出てきて遊女をやっているという役柄ですが、橋本さん自身の経験と重なる部分はありましたか？
特になかったのですが、自分の気づかないところでは重ねていたかもしれません。
熊本の人の特徴や、特色みたいなものが、自分のどこに残っているのかまだ分からないんです。
役作りとしては、彼女があの時代の阿蘇で、どういう暮らしをしてきたかと想像しながらやっていきました。
小梅という人物の行動は、熊本の土地柄というよりは、地方から東京に出てきた人のコンプレックスや期待感、今の場所への特別な思いみたいなものに根付いているような気がするんです。
本当の自分に自信があれば、あんなに江戸っ子のようにチャキチャキとしゃべらないんじゃないかなと思うので、小梅は理想とする江戸っ子に、自分を当てはめて生きているような感じはしました。
――考え方で共感した部分はありましたか？
孝ちゃん(孝蔵)にお見合いの写真を持っていくところですかね。孝ちゃんを「所帯持ったらちゃんと腹据わるから大丈夫！」ってたきつけるシーンがあったんです。
そのときの孝ちゃんがびっくりするぐらい子どもの顔になってて。捨てられた子犬みたいな顔をされていたので、すごく愛情が溢れてきました。「どうにかして幸せになってもらいたい」と思ったことを覚えていますし、小梅の気持ちとしても、私自身も「そんな顔しないで！」という気分になりました(笑)。
――森山さんが演じる孝蔵を見ての印象や、すごいなと思ったシーンはありますか？
「ここがすごいな」と思ったのは、初めて高座に上がって落語をやったシーン(第13回)です。私自身、感動してしまって、小梅としてのリアクションに引き戻すのが大変でした。
役柄としては、立派に落語をやり遂げたわけじゃないけれど、でもほとばしる何かをすごく訴えてくる演技で、もう超スペシャルな舞台を見せてもらったような気持ちになりました。
あれは本当にすごかったです。落語を落語としてやるんじゃなくて、ちゃんと孝蔵の人格として、お芝居の一つとして落語をやられていたんです。
私は見ていて「もう最高！」って盛り上がりたい気持ちだったんですけど、小梅としては何が何だかよくわからない状態だったので、そういう顔をしちゃいけなくて。自分との闘いが苦しかったです(笑)。
――小梅は、美川と一緒になるかと思ったら清さんと結婚していましたが、その台本を読んたときはどう思われました？
美川さんと恋仲になっていた時は、どこかで美川さんに期待していたところがあったと思うんですけど、まぁ…ああいう感じの人なので(笑)。愛想が尽きたわけじゃないけど、真のパートナーではないという思いがあったんだろうなという気はしました。
その後に清さんを見た時に、せりふにもありますけど「破れ鍋に綴じ蓋」の関係というか。こんなに自分のことを分かってくれて、肯定してくれて、守ってくれる頼もしい存在が近くにいたって気付いたんだと思います。美川さんへの不満が強ければ強いほど、清さんとの幸せを実感してました(笑)。
毎週日曜夜8:00-8:45ほか
NHK総合ほかにて放送
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