「龍星群」で心を揺さ振る音を届けたい
「龍星群」は一面の十七絃と、五面の十三絃による合奏曲。中盤、十七絃のさとわには曲想の要になるソロパートが当てられている。漫画ではさまざまな葛藤を乗り越えた上での音色を響かせ、コンクール会場全体を一気に引き込んだ。
田中日奈子:もう、プレッシャーがすごくて…。愛の一箏(いちこと)にもソロはあるんですが、向こうは温かい感じ。亡くなったおじいちゃんに対しての気持ち、集まってくれた仲間に対しての感謝とか、前向きな曲想なんですが、十七絃の方はちょっと孤独を感じさせる音色なんですよね。
今まで箏としか向き合ってこなかったさとわちゃんの孤独があって、でも寂しいだけでなく、愛とケンカばかりして素直になれない気持ち、箏曲部の仲間と過ごした気持ち。そういう感情が全部こもっているんです。その重みを音に乗せられるように試行錯誤していて、あと2週間、完璧な形に仕上げたいです。
──“音で気持ちを届ける”というのは原作にあるテーマの一つです。さとわの気持ちとは別に、田中さんが届けたい気持ちはどのようなものですか?
田中:私自身原作が大好きで、漫画を読んでいるときは、「これ、どんな音の曲なんだろう?」とずっと思っていたんです。だからアニメで「龍星群」を聴いたときは泣きそうになるくらい感動して、今度はそれを舞台側からの音として届けることが目標です。
──今の時代、若い方々が古典楽器の演奏会に足を運ぶというのはそうそうないと思います。だからこそ生の音色を聴いたときは驚くであろうし、感動も大きいと思います。
田中:私も今回の役が決まってから何度か演奏会に足を運んだんですが、やっぱり私たちが出している音と、プロの方の音は全然違うんですよね。当然のことなんですが、それを少しでも盗めないかと、弾き方、手の置き方とかに注目しているんですが、いつの間にか意識が音の迫力に引き込まれているんです。聴衆をこういう風にさせないとダメなんだよなって、毎回へこんで、帰り道は泣いています(苦笑)。
でも、プロの音にはかなわないですけど、少しでも心を揺さ振りたいし、感動を与えられるように全てを出し切りたいと思います。
2019年8月17日(土)~25日(日) 東京・全労済ホール/スペース・ゼロ
2019年9月7日(土)、8日(日) 福岡・ももちパレス
2019年9月14日(土)、15日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール
<キャスト>
久遠愛:財木琢磨
倉田武蔵:古田一紀
鳳月さとわ:田中日奈子
足立実康:塩田康平
堺通孝:小島ことり
水原光太:上仁樹堺
高岡哲生:小沼将太
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