<いだてん>金づちだった大東駿介、水泳選手を熱演し「脳より体の方が信頼できる」
本当に素晴らしい作品に携わらせてもらっていると感じていました
――水泳チームの皆さんはすごく仲良かったそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
体動かすことってアドレナリンがちょっと出てるから、みんながみんな前向きに進みますよ。それに、目に見えて頑張ってる人たちのことを誰も否定しないから、とてもいい現場だったなと思いましたね。
あと、第2部なので積み重ねてきたもののバトンを受け取ったという責任もあったように思います。
話しがちょっとずれちゃうんですけど、監督とお食事しているときに、「このドラマはみんなが失敗していくんだ。主人公は挫折したり失敗していくけど、それでも進んでいくんだ」というお話をしていて。僕は、それがすごく今の日本に欲しいものだと思ったんです。
田畑さんも、「日本に明るいニュースを」っていう思いで血眼になっていますし。それでも、失敗してしまう。その失敗が先の日本に残した功績っていうのは大きいから、この作品が僕は大好きなんです。
大河ドラマって日本の歴史、ロマンです。それを自分たちが噛み締めて、進めるという最高な舞台だと思っているので、まさにそれを実感しながら撮影できて…うん、楽しかったな。
本当に素晴らしい作品に携わらせてもらっていると感じていました。
――若くて勢いのある小池(前田旺志郎)の練習台と言われた鶴田と、同じく選手としてのピークを過ぎたと言われていた高石(斎藤工)の会話のシーンには、グッと来るものがありました。
僕も順風満帆ではないし、敗北を感じたこと、悔しい思いをしてきたこともいっぱいあって、でもくさったことってなかったんですよね。
僕の人生を思い返してみると、失敗して得たことの方がたくさんあって。人に優しくできていることも、自分が失敗したときに大笑いされて辛い思いしたり、敗北を感じたとき、他にそういうやつがいたら、絶対僕と同じ思いさせたくないなって思ったからだったり。
まさに今回、鶴田さん、高石さんに、改めて考えさせられたというか。
敗北や辛い経験は、のちの誰かのためになるんじゃないかと思うんです。現に鶴田さんと高石さんは諦めなかったですしね。
――水泳チームを率いる田畑を演じている、阿部さんにはどんな印象を受けましたか?
阿部さんはシャイな方なので、あまりコミュニケーション取らないんですけど、僕は阿部さんがすべてを作ってくれてるなって実感はありましたね。主役の器を見ました。
何を感じたかって、まず大河ドラマでこの芝居すんねやっていう。(皆川)猿時さんもそうですけど、見たことなかったんですよ、こんな勢いのある芝居。そこに、新しい時代を感じました。
何でもやっていいんやって阿部さんの演技を見て感じましたし、“らしく”やらなきゃいけないとかっていう余計な足かせを排除して、好きなことをやれる準備をしておいてくれたように思います。
あのせりふ回しってすごいですよね。あの速度で、あれだけ聞き取りやすくて、思いも乗っかってて、あの演技に背中を押された部分はあります。
めちゃくちゃ考えるタイプの人やと思うんですけど、現場では「俺何も考えてないよ」って懐を広げといて、付け入る隙を与えてくれてるという感じもあって、すごいです。
調子乗って、水泳チームのみんなで宅配ピザを山ほどとって、請求書だけ阿部さんに渡したりもしたんですけど、「全然いいよ、全然いいよ」って言ってくださったんです(笑)。いろんな懐の広さを感じましたね。めちゃくちゃ楽しかったです!
こんなほめてばっかりいたら気持ち悪いですけどね、でもほんまにそう思いますね。