「きのう何食べた?」3監督鼎談 西島・内野は『本当に仲良しでした』【ドラマアカデミー賞】
楽屋でも楽しそうなやりとりを見せていた二人
――西島さん(シロさん役)と内野さん(ケンジ役)が同棲中のカップルを演じたわけですが、お二人の現場でのやりとりはいかがでしたか?
野尻「第4話には回想シーンがあって、シロさんとケンジの出会いの場面を撮影しました。そこから内野さん(ケンジ)の方がシロさんをどんどん好きになるという過程を撮っていると、西島さん(シロさん)の心が溶けた瞬間があったように見えたんですよね。ケンジを見る目が格段に温かくなり表情が優しくなった。あのとき、西島さんは役柄を超えて本当に内野さんを好きになったんだと思います」
片桐「第7話で僕が演出するころには、既に二人の関係性ができあがっていましたね。撮影中だけでなく、楽屋でも楽しそうにしゃべっていました。内野さんが先に現場を出てしまう日は、西島さんが『さびしいな』とボヤいていたり、西島さんが嬉々として『ゆうべ夢に内野さんが出てきたんですよ』と言っていたりして、本当に仲良しでしたね(笑)」
中江「二人がハーゲンダッツのアイスを食べるところ、最終話のラストでエビチリを作るところなどは、生っぽく見えるけれど、完全なアドリブではないんです。僕から『ここはセリフを自由に延ばしてください』とお願いし、テストの段階で二人が即興のセリフをやりとりしてくれ、何回か練習して本番のほんわかした空気感に到達しているんです。そこはやはりすばらしいコンビネーションでしたね」
――西島さん、内野さん共にドラマ・映画の主演クラスであるわけですが、どんなところにそのすごさを感じましたか?
中江「西島さんとはこれまでもCMで組んできて、僕にとっても以心伝心で仕事できる安心感があります。今回はシロさん役のイメージに合っているし、彼の芝居のスタイルとしてもこの作品にハマるだろうと思いました」
片桐「何回かドラマ化の話が出て、そのときもシロさんは西島さんという噂になっていましたね」
中江「シロ役はモノローグもあるし、セリフ量が膨大で、1日の撮影で台本15ページ分というときも。セリフを覚えるのが大変だったと思いますが、ワンカットで長ゼリフを言わないといけない場面でも、本番はビシッと決めてくれて、あらためてすごいなと思いました」
片桐「1日当たりの撮影量は多かったよね。そんな中、スケジュールどおり撮らせてくれたお二人はさすがです。内野さんはマッチョなイメージだったので、ケンジはやったことがないタイプの役だったと思うんですよね。あれだけキャリアを積んできた人なのに、熱心にアプローチして『これでいいのかな』と僕たちに確認してくれる姿がすごいと思いました」
中江「内野さんは、どうやったら嘘くさくなく、自然にケンジの乙女チックなところを出せるかを心配していたよね。最初の顔合わせでは、まだ他の作品でヤクザを演じている最中で、男らしい顔をしていたけれど、台本読みの段階で大丈夫だなと思いました」
野尻「内野さんは美容院のシーンでも、すごく集中していましたね」
中江「あの集中力はすごい。ケンジは美容師なので、セリフも髪をカットしながら言ったりする。その手元に集中しすぎるとセリフが…ということになるので、何度も練習して、美容師としての動作が無意識にでるようにされていました」