“次世代カメレオン俳優”へ進化する千葉雄大を堪能できる映画2選<ザテレビジョン シネマ部コラム>
志駕晃の同名小説を映画化した北川景子主演のサスペンス・スリラー『スマホを落としただけなのに(2018)』(9月7日夜8:00 WOWOWシネマ)で千葉が演じたのは、黒髪の女性ばかり狙われる連続殺人事件を追う刑事、加賀谷。原田泰造演じる先輩刑事とコンビを組む彼は、常に全力で一生懸命。その一方で、山中で遺体が発見される初登場シーンでは、降ってきたヒルに大騒ぎしてしまうなど、新人刑事特有の頼りなさも見せる加賀谷だが、元プログラマーという異色の経歴を持ち、SNSを通じて犯罪を行っている犯人の手掛かりをいち早く発見する。
中田秀夫監督の演出によるシリアスで緊張感あふれる千葉の芝居が見られる本作。真犯人と同じ“幼い頃に母親から言われた一言がトラウマになっている”境遇が明らかになり、真犯人に感情移入できてしまう加賀谷の心理を、千葉がどう演じ切ったのかは大きな見どころといえるだろう。また、加賀谷と逮捕された真犯人の関係性が綿密に描かれる、2020年公開の続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』では、千葉のさらなる力量が発揮されるのを期待したい。
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