お母さんってこういう思いをするのかなと疑似体験させてもらいました
――第3話(11月2日[土]放送)から登場する井上優吏さん演じる中学生以降の寅次郎はいかがですか?
すごく寅さんです!
成長した分、渥美さんを彷彿とさせるような場面もありますし、幼少期よりさらに難しいといいますか、求められるものが多くてプレッシャーを感じることも多かったと思います。
これは2人ともなのですが、シャイで繊細な部分があって、とても真面目なんですよね。一生懸命求められることに応えようとする姿が愛おしかったです。
第5話(11月16日[土]放送)ではおんぶをしてもらうシーンがあるのですが、「大きくなったね、寅ちゃん…」と本当に思ってしまいました。
撮影は2カ月間ですが、「ついに寅ちゃんにおぶられる日が来るのか」って…。そのたくましさがうれしくもあり、さみしくもあり、お母さんってこういう思いをするのかなと疑似体験させてもらいましたね。
――夫の平造を演じる毎熊克哉さんとのお芝居はいかがでしたか?
基本的には相手のお芝居を受けて返すという感じなので、綿密な打ち合わせをして撮影に臨むということはあまりありませんでしたが、大事なシーンの前にはお話しをさせていただきました。
私自身、毎熊さんの演じる平造さんがすごく楽しみだったんです。どんな平造さんになるんだろうって。
私が演じる光子も平造さんも映画シリーズに登場しないのでモデルとなる人がいない分、色んな演じ方ができるので、お互いに「これでいいのかな」と感じることがあったと思うんですよね。毎熊さんとは今回がはじめましてだったのですが、お互いに信頼関係を築きながら演じることができて本当によかったです。
――平造演じる毎熊さん、そしておいちゃん(竜造)役の泉澤さん、おばちゃん(つね)役の岸井ゆきのさんらくるまやでのシーンが印象的でしたが、現場の雰囲気はどうでしたか?
毎熊さんも泉澤さんも岸井さんも色んな現場を経験されている方なので、その場の空気に馴染む力がすごくて…。
皆さん役としても、新しい現場に入る役者としても相手に緊張させない、気を使わせない力を持っていて、そのおかげで最初から家族になれる感じがありました。
特に「会話をしなきゃ!」という気も使わないですし、みんなでぼーっとちゃぶ台を囲っている時もあればおしゃべりしている時もあって、その空気がとても居心地がよかったです。
また、寅ちゃん(藤原)がさっきまでゲラゲラ笑っていたのに振り返ったら機嫌が悪くなっているみたいな、本当に分単位で機嫌が変わるんです(笑)。
どんなに機嫌が悪くても笑わないといけないシーンはありますし、それを大人たちが一生懸命「寅、寅!」ってあやしていたので、自然と現場の結束力は高まったかもしれないです。
10月19日(土)スタート(全5回)
毎週土曜夜9:00-9:50
NHK総合にて放送
出演:井上真央、毎熊克哉、泉澤祐希、岸井ゆきの、石丸幹二ほか
原作:山田洋次「悪童 小説寅次郎の告白」
脚本:岡田惠和
音楽:馬飼野康二
制作統括:小松昌代、高橋練
演出:本木一博、船谷純矢、岡崎栄