高木さんと大森さんが作ってくれた“歌”が本当に素晴らしい
――前回の映画に引き続き、脚本の田中仁さんとは再タッグを組んでの制作となりましたが、田中仁さんとはどのようなお話をされたのでしょうか。
田中:仁さんとは、個人的にお話し合いをすることは少なかったです。「Go!プリンセスプリキュア」(2015-2016年、ABCテレビ・テレビ朝日系列)や「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」とご一緒させていただいて、僕の中で「仁さんに頼り過ぎだな」という想いがあって。だから今回の映画では、スタッフのキャスティングの段階で、実は自分からは仁さんのお名前を出さなかったんです。
仁さんは村瀬(亜季)プロデューサーからの指名で、それならば、と。でも、映画主題歌を担当してくれた高木(洋)さんや大森(祥子)さんもそうですが、気付いたら結果的に、なじみの深いスタッフたちが集まってくれていました。
そういった気心の知れたスタッフとお仕事することで、とても和気あいあいと制作に取り組めたなと思っています。
――映画の中で、メッセージや想いを込めたシーンなどはありますか?
田中:作品全編を通して、想いを込めて制作しています。映画をご覧になった方の受け取り方によって感じる部分は変わってくると思いますし、こちらからそういう部分を指定してしまうのも違うのかなと。
強いて挙げるなら、ひかるとララがユーマを通して成長、葛藤していくドラマ的な部分ですね。
あとは、高木さんと大森さんがが作ってくれた“歌”が本当に素晴らしくて。その歌を中心に作品を作り上げていったので、歌の素晴らしさを伝えられるような作品に仕上がったのではないかと自負しています。
――“歌”は、映画の中でも特に重要な意味を持つものとして、レコーディングでプレッシャーを感じていたキャストの方もいらっしゃったそうですね。
田中:歌のレコーディングを行ったのが、本編のアフレコをするよりずいぶん前だったので、声優さんたちには、物語のざっくりとした概要と、ユーマというキャラクターの説明くらいしかできなかったんです。あとは声優さんたちがイマジネーションを働かせて歌ってくださったので、本当に「よくやったな」と思います(笑)。
――本編は、キュアスターとキュアミルキーの視点で物語が進んでいくという描き方も印象的でした。
田中:元々の企画意図として、二人のキャラクターがお互いに成長し合っていく姿を描きたい、という想いがあって。今回はキュアスターとキュアミルキーにスポットを当てて、より物語性が強い作品にしていこうという意識はありました。
――テレビアニメでは、等身大の子どもらしさがあるひかる(キュアスター)が、今回の映画では少し大人に成長した姿も描かれていましたね。
田中:そうですね。今回の映画では、ユーマというキャラクターを通して、ララ(キュアミルキー)の持つ大人な部分がひかるに入ってきて、いつもなら突っ走っていってしまうところをグッと抑える、といった大人な部分を見せます。
逆にララは、ひかるの持つ子どもっぽさが入ってきて、ユーマと離れたくないという感情を優先させて、ちょっとわがままになってしまうんです。
そんな風に、お互いの要素が入ってきた二人が影響し合って、さらにお互いを成長させていく、という描き方をしているので、実はひかるとララからの影響を受けていたのはユーマだけじゃなくて、本人たちもお互いに影響を受けているんです。
――ユーマというキャラクターは言葉が通じないという設定は、どのような発想から生まれたのでしょうか。
田中:ユーマに関しては、映画のキャラクターとして、フワやプルンスとも違う、妖精っぽい不思議なキャラクターをイメージしていました。そのキャラクターとどう心を通わせていくかとなったときに、作品のテーマでもある“歌”を使って、クライマックスの展開につなげていこうと。それならば“歌”や“音”で感情を表現して、あえて言葉を発しないキャラにチャレンジしてみよう、と。そうやって、一つ一つの要素を線で結んでいくように作っていきました。
全国東映系・全国にて公開中
<スタッフ>
原作:東堂いづみ
監督:田中裕太 脚本:田中 仁
音楽:林ゆうき、橘麻美
総作画監督・キャラクターデザイン:小松こずえ
作画監督:松浦仁美、中谷友紀子 美術監督:今井美紀
CGディレクター:大曽根悠介 色彩設計:竹澤聡
撮影監督:高橋賢司 製作担当:澤守洸、井桁啓介
※高橋賢司の「高」は「はしごだか」が正式表記
【映画主題歌・挿入歌】「Twinkle Stars」作詞:大森祥子、作曲・編曲:高木洋
<キャスト>
成瀬瑛美 小原好美
安野希世乃 小松未可子 上坂すみれ
木野日菜 吉野裕行
咲野俊介 片桐仁 濱津隆之
石川由依 駒木根隆介
知念里奈(ゲスト声優/映画主題歌歌唱)
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