「ブラック校則」社会人にこそ見てほしい、佐藤勝利“創楽”の真っすぐさ<試写室>
社会人の胸に突き刺さる言葉も
創楽たちは、第1話から校則を変えるための行動を地道に続け、少しずつ周囲は変わってきているが、第6話で描かれるのは対極にある教師側の思い。
その中には「教師と生徒の恋愛」「社会的な殺人」などドキッとさせられる言葉が多く出てくるが、筆者の印象に残っている言葉は、ある教師が発する「たった3年間の辛抱」。
かけがえのない高校生活をこんな言葉でまとめてしまうのは、こちらまで胸が痛くなるような、どうにもやりきれない気持ちになる。
我慢することに耐性がついてしまった社会人の感覚を、学生にまで押し付けてしまっている。そんなブラックさが浮き彫りになった気がした。
学園を舞台にした物語ではあるけれど、ブラックなルールがある社会人にも、胸に突き刺さるような言葉や、自分自身の環境を見直すきっかけになるような言葉がたくさん詰まっている。
そういった考えさせられる側面もありながら、物語の中にはクスッと笑える会話もちりばめられている。ストーリーの構成としては、1話から変わらず、砂浜で会話をする創楽と中弥が、これまでにあった出来事を「あの時はああだったよな」「実はその時こういうことがあって…」などと回想する形。
柔らかくゆったりとした独特の雰囲気で話が進められ、何気ない会話の中にも随所に伏線があり、後半になるにつれて、「さっきの話のここが繋がるのか!」と一話の中で発見を楽しむことができる。
回想型で時系列がつかみにくいが、そういったところも何度も見たくなるポイントになっていると思う。ドラマ、映画、Huluと3本柱で展開され、どの入口から入っても楽しめる「ブラック校則」。3つのコンテンツを行き来し、より立体的に見て、深くかみ締めたい作品だ。
※SNSや独自調査を集計した、今熱い番組を計る新指標
※高橋海人の「高」は「はしごだか」が正式表記
文=あゆ