「“炎上”って本来、人前に出る仕事の人間しか経験しなくていいことやと思うんです」
――本書では、SNSを利用する上でのポリシーとして「臆病にならない」「時間をかけない」「飾りすぎない」「はしゃがない」「振り回されない」の5カ条が挙げられています。それは井上さん自身も日頃から心掛けていることなんでしょうか。
井上裕介:そうですね。SNSに投稿するとき、悩んで10分、20分と時間をかけるのは意味がない気がして。もちろん、言ったらダメなことはちゃんと考えなあかんけど、「これはみんなに評価されるかな」とか、「こんなこと書いて炎上せえへんかな」とか、そういうことを考える時間はもったいないですよ。
――その考え方は、Twitterを始めた当初から?
井上:というより、僕がTwitterを始めた当時は、みんなそういう考え方やったと思うんです。Twitter、インスタ(Instagram)、あとTikTokもそうかもしれませんけど、媒体が大きくなって市民権を得たがゆえに、一般の人たちの間でも“炎上”っていう言葉が使われるような事態が起きるようになって。“炎上”って本来、人前に出るような仕事の人間しか経験しなくていいことやと僕は思うんですけどね。“バカッター”とか“バイトテロ”みたいな炎上騒ぎって、Twitterが始まった頃は、ああいうアホなことをやったとしても、それをネットに上げようっていう人はいなかったと思うんですよ。でも今は、「ああいう極端なものをSNSに上げれば閲覧数が伸びるんだ」「これなら再生回数伸びるぞ」っていう発想から動いちゃってるでしょ。やっぱり、SNSがあまりにも大きくなりすぎたと思うんですよね。
――“炎上”とは逆に、“バズる”といった高評価の反応も取り沙汰される昨今ですが、井上さんのツイートも、頻繁にバズっていますよね。今年(2019年)の5月にも、井上さんがTwitterで投稿した「街で小さな子供を連れている家族が、僕とすれ違った瞬間に、『あっ!いのうえ!!』と呼び捨てで言われる(中略)子供の前だけでも親御さんは『くん』とか『さん』をつけた方がいいのになと思う」というツイートが、多くの賛同の声を集めました。
井上:あのときはあんなに反応があるとは思ってませんでした(笑)。お子さん連れのお母さんに「あ、井上や!」って言われて、思わず投稿したツイートなんですけど。子どもって敏感で感受性豊かやから、よけいにそう思ったんですよね。でも、すれ違っただけやから直接その人に言えなかったんで、その気持ちを形として残しておこうと。万が一、そのお母さんが僕のSNSを見たときに、「これ、私のことかな」って気付いて、これから気をつけるようになってくれたらええなっていう思いもあって。
――決して世間の賛同を得ようと思ったわけではないと。
井上:もちろん、もちろん。たいていの人は、ちゃんと「さん」づけで呼んでくれますし。強いて言うと、気付かないうちに子どもの前でマナーのよくない行動をしている大人たちに伝わればええな、とは思ってましたけど。
発売中 1200円+税
発行:ヨシモトブックス/発売:株式会社ワニブックス
■YouTubeチャンネル「NONSTYLE井上365」
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【井上裕介Twitter】@inoueyusuke
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