<アライブ>医療監修・小野麻紀子氏「患者さん目線でも現実に近い作品になっていると思います」
「患者さんご本人が納得して治療を受けられるように」
――ドラマでは医師が患者さんの生活に寄り添う姿が描かれていますが、実際の現場ではどうですか?
腫瘍内科では進行がんを扱うことが多いため、一番問題なのは「どうやって生活していくか」という部分になります。
若い患者さんだと子供がまだ小さいことも多いですし、会社や親にどう説明するかが問題になったりもします。このような場合、定期的に通院するだけでも大変なんですよね。
治療ももちろん問題ですが、それ以外のことで悩みを抱えていることがかなり多いです。
――普段がんの患者さんと接する上で大切にしていることを教えてください。
患者さんご本人が納得して治療を受けられることです。自分が納得していれば後から後悔することが少ないと思います。何かあっても、患者さんご本人が後悔しないことが多い気がしています。
もちろん医学的・専門的な提案やアドバイス、おすすめはしますが、本人が納得して選べるようにすることも重要だと思います。
――この作品に携わることで伝えたいことはなんですか?
がんで苦しんでいる人は多いのに、それが社会に浸透していないと思っています。最近は芸能人の方がカミングアウトすることも増えてきましたが、苦しいことを言わないでいる人も多いです。
でもふたを開けてみると経験した人もかなりいるので、このような医療ドラマに「私もそうだった」と共感する人が意外と多いです。
なので、「こういう現実があるんだよ」と社会全体にオープンにできるようになるといいなと思っています。
また、がんになったことがない人でも、親せきや友人を含めてがんに関わらないで生きていく人は少ないと思います。そういう方も含め、がん治療の現場を知ってもらうことで、身の回りの人や自分ががんになったときに、ドラマで見たことが何かの役に立ったら良いと思います。社会全体でもがん医療について共有できたらいいと思っています。