そばへのこだわり
――明智のやっている探偵事務所も個性的で見どころだと思います。ご本人的に気に入っているところはありますか?
美術に動物のアイテムが多いんですよ。事務所の奥にフラミンゴの置物があったり、どこの国のものか分からないトーテムポールがあったり。それでいて、さすがは美食探偵というべきか、キッチンだけは最新式のアイランドキッチンなんですよね(笑)。
そういう遊び心も楽しんでもらえると思いますし、僕はこの間、明智の事務所に置いてある蝶の標本を撮影が終わった後にもらえないか、美術さんに聞いてみました(笑)。
――「もし、明日死んでしまうとしたら、あなたは最後に何を食べますか?」という作品のキャッチコビー。中村さんなら“最後の晩餐”に何を選びますか?
そばですね。他の食べ物では、これじゃないとダメとか、あそこのあれじゃないとダメとかはないんですけど、そばに関してだけはこだわりがあって。
――それはどういうこだわり?
最初は何もつけずにそばだけを食べて、まずは風味を味わう。そのあとにつゆを少しだけでつけて、空気を混ぜ込んでそばの香りと味を楽しむという、自分なりの作法みたいなのがあって。
で、思い起こしてみると、父親がそういう食べ方をしていたんですよね。なんだか血を感じますよね(笑)。
――最後に、このドラマの見どころを教えてください。
僕が最初に脚本を読んだときは、原作へのリスペクトを踏まえつつ、ストーリーの転じ方が丁寧で巧みな作品だなと思いました。各話それぞれで起きる殺人事件の意図と、それが最終話にどうつながっていくのか。そこのねじれは僕の想像を超えるところが大きくあったので、楽しみにしてほしいですね。
あと、「美食探偵」というタイトルだけに、毎話出てくるおいしい料理にもぜひ注目してください。