春風亭一之輔2020春の毒炎会は無観客収録で「猫の災難」「百年目」を熱演
4月26日(日)朝9:00より、CSチャンネル・TBSチャンネル2で「落語 春風亭一之輔 春の毒炎会2020」が放送される。
2017年3月にスタートしたTBSチャンネルオリジナルの落語会、春風亭一之輔による「毒炎会」の新作。今回で10回目となる節目の回は、新型コロナウイルスの影響で、無観客での収録となった(場所は、東京・江東区の深川江戸資料館・小劇場)。
一席目のマクラで、「私には見えます。あふれんばかりのお客様の、期待に満ちたその目。割れんばかりの拍手が聞こえます」と意気込みをサラリと口にした一之輔。
演じたのは、滑稽噺「猫の災難(ねこのさいなん)」と、主従の絆を描いた人情噺「百年目(ひゃくねんめ)」。笑い声がないとやりにくいかというとそうではないとうそぶいた落語家は、さまざまに表情を変えながら、登場人物が多く、演じ分けが必要な古典落語の大ネタをじっくりと演じて聞かせる。
3月末の収録会場で、口演後すぐにリモートでのインタビューに応じてくれた春風亭一之輔の声をお届けする。
春風亭一之輔「春の毒炎会2020」収録直後インタビュー
――今回の「毒炎会」は無観客収録となりました。経験は過去にありますか?
一之輔:落語では今回で2回目です(前回はTBS「落語研究会」で、前日の3月30日に収録。2日連続の無観客収録だった)。テレビ番組では今後無観客が増えそうですね。
――無観客となると、いつもと趣が異なりますよね。
一之輔:そうですね、ネタ選びとかいろいろ考えます。今回は「猫の災難」と「百年目」という噺を選びました。
――その二席を選んだ上で、意図がありますか?
一之輔:「猫の災難」は、ずっと一人でぐずぐず飲んでる男の噺。酔っぱらいの一人語りが多いんで、お客さんの反応を気にせずにできるところはありますね。季節は春なんで、もう一つの「百年目」はお花見の話。花見も満足にできない、こういうご時世ですからね。格好よく言えば、我慢していただいている花見を、落語の中だけでも味わってくださいっていうことですかね。
劇場を借り切って壮大なお稽古をしていると思って、普段よりちゃんとやりました(笑)。お客さんがいると、妙にウケると、それに甘えがちにもなる。ウケているところに乗っかって、テンポよくしてみたり。それが生の醍醐味なんですけどね。
お客さんがいないと、初心に立ち返って、ゆっくりのんびりやってみようかなという気持ちにもなる。良い勉強にはなりました、いまさら勉強しちゃいけないけど(笑)。
――「毒炎会」も今回で10回目。長く続いている秘訣はありますか?
一之輔:秘訣はですね、何の目的も持っていなくて、何も考えてないことかもしれないですね。いつも通り落語をお送りして、楽しんでいただくだけでいい。気負いとかもない。収録で後に残るから下手なこと出来ないと思いがちですけど、そんなことを思わないでやれている。だから良いんじゃないですかね。
――気負わずにいられる理由は?
一之輔:番組のスタッフがそんなに気を遣ってくれないのがいいですね(笑)。おかげでいつも通りやれる。腫れ物に触るように扱われるよりよっぽどいい。それが一番です。
――過去、9回の中で印象に残る回はありますか?
一之輔:すべてに力を注いでいるので、特には無いですが、あえて言うと、生でやった最初の回ですね。この録画技術が発達した世の中で、生放送で落語番組をやるという。その回が一番気を遣いました。
――他の落語会との違いは感じますか?
一之輔:「毒炎会」のお客さんは、いつも新鮮な感じで見てくれる人が多いですね。抽選で当たった人ですから、ある程度年齢層もばらけていて、お客さんが非常にフラットでいい感じ。落語好きな人もいれば、初めて落語を見る人もいる。やっていて楽しいですよ。
この4月21日には、YouTubeに「春風亭一之輔チャンネル」を開設し、月末30日(土)まで、毎夜8:10頃から落語を生配信する試みをスタートした一之輔。そこで配信されている「寄席入門」は、現在の落語界について分かりやすく解説しており、「落語界全体に興味をわかせる」と早くも評判になっている。
落語家が高座に上がれないという悪環境でも何かを起こそうと奮闘する男が見せる珠玉の落語がこの週末に放送される。
【放送演目】
「猫の災難(ねこのさいなん)」
「百年目(ひゃくねんめ)」
4月26(日)朝9:00‐10:30、5月3日(日)朝9:00‐10:30
TBSチャンネル2にて放送
収録:2020年3月31日/深川江戸資料館・小劇場(東京都江東区)
https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/v2817/
TBSチャンネル番組HP
https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/v2817/