朝ドラ「おちょやん」「わろてんか」本当に似てる?共通点&相違点を解説
「わろてんか」と「おちょやん」の相違点は
「わろてんか」は寄席を作って、それがやがて吉本興業に発展していく経営者・吉本せいをモデルにしたドラマで、ヒロイン・てん(葵わかな)は京都の薬問屋のお嬢さんで、旅芸人の青年(松坂桃李)に恋して駆け落ちして結婚、夫の死後、女手ひとつで夫の夢である寄席経営を引き継いでいく。
一方、「おちょやん」は松竹新喜劇の旗揚げメンバーにして、退団後は名脇役として映画やドラマで活躍していく俳優・浪花千栄子をモデルにしたドラマ。主人公・千代は貧しい家に生まれ、口減らしで大阪に奉公に出された天涯孤独な人物。それが劇団の看板俳優と結婚し、ともに俳優として活躍する。
「わろてんか」のてんは、夫亡き後も、その意思を守るため経営者として、いつも笑顔を絶やさず寄席の芸人たちを見守り、「おちょやん」はまだ2週目なので先の展開は不明ではあるが、自分で自分の居場所を作るために、俳優という表現者としてがんばっていくことになるだろう。
吉本興業だけでない関西の名優たちも出ている
こてこての笑いの吉本興業と、涙と笑いの人情ものの松竹新喜劇と、モデルにした会社の方向性も違うので、ドラマのカラーも自ずと違っていくと思うが、いまのところ似ていると思ってしまうのは、「わろてんか」に藤井隆や内場勝則が出て盛り上げたことに引き続き、吉本興業所属の俳優が出演して笑いを振りまいているからであろう。
天海一座の主要俳優・須賀廼家千太郎(すがのやせんのすけ)を星田英利が演じ、吉本新喜劇のようなおばあちゃん演技を見せたり、ライバル一座・万太郎一座の須賀廼家万太郎(すがのやまんたろう)を板尾創路が演じ、シュールな笑いを見せたりと、吉本の俳優が目立つ。
彼らだけでなく、松竹新喜劇や松竹芸能の俳優や落語家や狂言師など、関西を拠点に活躍している演技巧者たちがまんべんなく出ているが、テレビに多く出て全国区の認知度のある吉本勢が目立って見えるのは致し方ない。
とはいえ、朝ドラのいいところは、これまで知らなかった人たちを知ることでもある。例えば、前作「エール」では、主に舞台で活躍しているミュージカル俳優たちが注目された。